受験を超えて

鎌倉の進学塾 塾長が考える、受験と国語とその先のこと- Junya Nakamoto -


2022倍率:2月8日志願変更後の最終出願から見えるもの

2022.02.08


3日間の志願変更を経て2月8日に最終出願後の倍率が確定しました。2022年も昨年に引き続き大きく動いた志願変更。その動きから見えてくる難易度の変化や今年のトレンドなどについてお伝えしてまいります。(参照:令和4年度共通選抜志願者数 神奈川県記者発表資料

過去二番目の志願変更数。今年も動いた。

昨年は全体の7.8%(13人に1人)にあたる3,653人が志願変更をし、今年は6.7%(15人に1人)となる3,197人が志望校を変更しました。やっと志願変更が「当然の権利」「有効な選択肢の一つ」として、認知されてきたと感じています。

一つの学校を熱望するだけではなく、あらかじめ複数の学校を見ておく。そして、倍率から難易度を推測しながら自分の得点力と合格の可能性を照らし合わせて、最終的に受験校を決める。出願の仕方自体がアップデートされたと感じており、これはとても良いことだと思います。

「倍率気にするな」は確かにそうですが、志願変更の機運が高まっている以上、倍率への意識は高めざるを得ません。今年、倍率の記事をこまめに書いているのは、そういう理由です。

倍率変動がボーダーラインに及ぼす影響

倍率が動いたらどうなるのか。

必要以上に臆病になることもありませんし、たいして影響しない、と高を括るのも違います。倍率が及ぼす影響についてよく知った上で、入試当日までの心の準備をしておきましょう。

各校の入試比率や難易度も異なるため、一概には言えませんが、倍率変動がボーダーラインに及ぼす影響は、前年と比較して概ね以下の通りです。

  • ±0.1ポイント:3~6点変動
  • ±0.2ポイント:6~9点変動
  • ±0.3ポイント:9~12点変動
  • ±0.4ポイント:12点〜15点変動

前年と同じ問題と仮定した場合の難易度の変化です。

たとえば、昨年よりも倍率が0.3ポイント上昇した学校は、ボーダーラインが10点前後上がることになります。偏差値にして2~3ポイント分です。一問のミスが大きな影響を及ぼし、逆にいつもより一問多く取れれば、チャンスが見えてきます。

激動は限定的な学校

数多く動きましたが、特に目立ったのは学力向上進学重点校およびエントリー校の18校となっています。やはり最も大きな動きが見られたのはここでした。他には、市立桜丘(倍率1.09→1.23)や湘南台(倍率1.97→1.67)、港北(倍率1.00→1.19)なども動いています。

また、保土ケ谷上矢部菅、西湘などの定員割れ校が志願変更によって一気に倍率を回復し、定員を超えているのも散見されます。

無理やり分けたカテゴリごとに見てまいります。

学力向上進学重点校

昨年の緑ケ丘に次ぐ108名の移動となった翠嵐。それでも史上最多804名の受験生が最終的に翠嵐の受験を選択しました。2022年入試の大きな話題となっています。翠嵐とツートップを形成する湘南も思ったよりも減らしています。

厚木川和の減少が限定的に見えるのは、翠嵐・湘南からの志願変更が多かったためかと思われます。倍率の上昇はありませんでしたが、得点力のある受験生が集まっている可能性があるため、油断はできません。柏陽は22名の減少。こちらも翠嵐からの移動が考えられます。

学力向上進学重点エントリー校

ほとんどの高校で昨年以上の受験生を集めており、倍率が高く出ています。エントリー校人気爆発が2022年入試の二つ目のトピックスです。エントリー校全体で昨年よりも5%超の上昇となる270人の増加となりました。

昨年に引き続き、緑ケ丘・鎌倉が大きな減少。緑ケ丘は100名超えの移動となった前年最終倍率とほぼ同等。難易度は昨年並と考えて良いでしょう。鎌倉は減少幅も大きかったものの、依然1.5倍以上の水準となっており、昨年よりも偏差値1ポイント以上の上昇は免れません。鎌高志望のみなさん、応援しています。

茅ケ崎北陵横浜平沼希望ケ丘も1.5倍を超えてきました。減少もあるかと思いますが、他校からの移動もあって、変わらずか微増となっています。大和・多摩は高倍率をキープ。今年も厳しい受験となりそうです。

横浜市立人気校

翠嵐からの流入も考えられたサイエンスフロンティアですが、そこまで移動はなかった模様です。翠嵐サイエンスフロンティアの差別化が図れているということでしょう。倍率が高かった市立金沢から市立桜丘への移動が見られます。また、緑ケ丘→桜丘の移動も一定数いると思われるので、低倍率でスタートした桜丘も1.23倍まで上がりました。

戸塚(一般)は大きくきく減らし、1.29倍。例年より少し難易度は下がりそうです。

湘南地域上位校

出入りが激しかったSOFTS。特に大船は40名増加で1.21倍。昨年1.19だったため、ほぼ同等の難易度となります。藤沢西湘南台から鶴嶺への移動があったようですが、鶴嶺は最終的に1.1倍を下回る倍率。やや易化となりそうです。七里ガ浜が下がりません。定員が1クラス分増えたにもかかわらず、1.43倍と高倍率。人気の定着が見て取れます。

注目の湘南台は72名減少も倍率は1.67倍。例年と比較してもかなり厳しい入試となります。

湘南・横須賀地区注目校

定員割れスレスレだった深沢は20名増。ただ、倍率は1.09倍で昨年よりも低い状態で入試がスタートします。人気の横須賀総合は変動0となりました。例年通り比較的高倍率の入試が続きます。逗葉も減らしませんでした。逗子高校の定員割れが続いていただけに、逗葉に逗子地域の高校を盛り上げてほしいものです。

おわりに

志願変更がどんなに当たり前になったとしても、一度強い想いを持って出願した学校を諦めることは、苦しくて悔しい決断です。「この学校に行きたい」という望みを捨てずに、自分と向き合って頑張ってきたのだと思います。よく決断しましたね。その決意を讃えたいと思います。

もちろん、「変えない」という選択をした受験生も強い。

ここからは想いと想いのぶつかり合いです。

最後、合格をするのはギリギリのところで正解を一つでも拾えた人です。単語のスペル、ピリオド忘れ、漢字、語句の書き抜きミス、計算間違い、数値の読み違え、マークミスなど、次にやったら絶対に間違えないようなところを本番で落とします。

これまで積み重ねてきた力を発揮できることを願っています。

最後まで。
頑張れ、受験生。