受験を超えて

鎌倉の進学塾 塾長が考える、受験と国語とその先のこと- Junya Nakamoto -


【dosh.】2023年度自己採点平均の公開と考察

2023.02.15


受験生のみなさん、五教科の共通選抜・特色検査を終えましたね。中学入学時からコロナに振り回された三年間でした。最後に待っていた入試は、どんなものだったでしょうか。

受験生をサポートしてくださったご家族の皆様や学校・塾の先生方、大変お疲れ様でした。また、追検査を受けられる方々、あと少しの辛抱です。応援しています。

公立高校入試の結果が出るのは二週間後です。長い二週間を過ごすことになります。モヤモヤ・後悔、達成感と心配など、説明のつかない感情が渦巻いているかと思いますが、ひとまずここまでやりきった自分をねぎらい、ゆっくり休んでください。そして、たっぷり遊びながら受験勉強の日々や中学校三年間を振り返ってもらえればと思います。

さて、dosh.(岡本塾・慧真館・すばる進学セミナー)では、今年も自己採点結果を共有し、平均点を公表いたします。各教科の難易度・ボーダーライン(合格最低点)予想や終わったばかりの特色検査についても触れていきます。

2023年度入試難易度、dosh.の見解

2023年入試の難易度について様々な憶測が流れていますが、雰囲気でも所感でもなく、70人前後の上位校受験者の自己採点を踏まえ数字を根拠とした、dosh.としての見解をお伝えします。(難易度は2022年度との比較です

2023年入試難易度dosh.の見解
    • 英語:やや易化
    • 数学:昨年同等
    • 国語:大きく易化
    • 理科:大きく難化
    • 社会:やや難化

なお、2023入試の動向や問題分析、特色検査についてや、STEP平均について話すYoutubeライブを2月17日(金)22:15~公開します。コメントも拾いながら、楽しく話す予定です。入試を終えてリラックスした状態で、ぜひご覧ください!
(チャンネル登録とリマインダー設定をお願いします!)

dosh.2023年度自己採点平均点

続いて自己採点結果を公表します。全体の平均点に加えて偏差値グループごとに分けた平均点もあわせてご覧ください。“各校ごと”ではないのは、受験者が一人の学校などは点数が参考にならない場合があるのと、個人の特定を避けるためです。

  • グループ1:湘南・横浜翠嵐・厚木・柏陽・川和(15人前後)
  • グループ2:横浜緑ケ丘・多摩・横浜サイエンスフロンティア(10人前後)
  • グループ3:神奈川総合・希望ケ丘・小田原・光陵(15人前後)
  • グループ4:横浜平沼・鎌倉・市立金沢・茅ケ崎北陵・新城(15人前後)
  • グループ5:市立東・市立桜丘・秦野・七里ガ浜・横浜栄(15人前後)
  • グループ6:(5名未満につき非公表)

グループ1

グループ1は、学力向上進学重点校(SYAHK)の5校です。五教科の平均点が440点となりましたが、翠嵐・湘南受験生の平均値は450点を超えています。最難関である翠嵐・湘南は、昨年・一昨年からの変動はほぼありません。

得点力のあるメンバーが集まるグループ1でも、数学は75点前後。理科は90点を超えませんでした。一方、国語が10点以上上昇。五教科全体としてはわずかに上昇です。ただ、翠嵐は昨年よりも倍率が下がっていることを考えると460点前後が合格者平均点となるでしょうか。(昨年は464.3点)

特色検査がかなり合否を左右することになりますが、翠嵐のボーダーラインは440点前後、湘南435点前後、柏陽420点前後、厚木・川和は410点前後を予想します。

グループ2

グループ2は、学力向上進学重点校エントリー校の中でも高得点帯に位置する緑ケ丘・多摩とそれに匹敵するサイエンスフロンティアで構成されています。なんと、417点と昨年よりもややダウンとなりました。これは昨年dosh.の高得点者がこのグループ2に集結していたためです。

ここでもほぼ同等の得点帯が合格ラインとなりそうです。もちろん、特色検査の結果にもよりますが、今年やや倍率が低めの緑ケ丘は410点前後、多摩410点前後、サイエンスフロンティアも410点前後がボーダーラインの一つの目安となりそうです。

グループ3

グループ3は、全県模試偏差値帯では65〜67のグループ。こちらは409点となっています。昨年と比べて2点ダウンです(dosh.比)。ここも実力派が受験する進学重点エントリー校が並んでいるため、高い合格者平均点となっています。ボーダーラインは385点〜390点あたりでしょうか。今年は特色検査が比較的与しやすく、大逆転の可能性はそこまでないかと思われます。

グループ4

グループ4は、全県模試偏差値帯では60~65のグループ。こちらは382点となっていて、昨年と比べて7点ダウンしています(dosh.比)。理科・数学の難易度が高いため、点数にはばらつきが出ています。ボーダーラインは380点〜385点あたりを予想しますが、鎌倉・平沼・茅ケ崎北陵のボーダー付近の受験生は解きづらさがなかった特色検査の問1問2の出来が鍵を握ります。

グループ5

グループ5は、全県模試偏差値帯では55〜60のグループです。年度によって振れ幅の大きいゾーンです。昨年よりも16点平均点を上げています(dosh.比)。国語の易化の影響が大きいですね。ここから判定はしづらいですが、ボーダーラインは335~350点あたりを予想しますが読みにくいです。桜丘は360くらいでしょうか。

グループ6

グループ6は、全県模試偏差値帯では50~55のグループです。dosh.からの受験者が今年は5名未満でしたので、個人の特定を避けるために非公表とさせていただきます。全体の平均点には結果は含んでいます。

特色検査を終えて(受験生の声)

  • 「やりきりました」(湘南)
  • 「面白い問題だったのに、終わった後に問題ザコすぎるという声が聞こえて哀しくなった」(鎌倉)
  • 「蛍の点滅で0・1は笑った」(茅ケ崎北陵)
  • 「誕生日問題が楽しくて、自分の誕生日を計算しそうになった」(柏陽)
  • 「問1の英文は地理も経済も入っていて凝ってるなーと思った」(鎌倉)
  • 「ここでも箱ひげ図!」(茅ケ崎北陵)
  • 「配点が書いてあったので、解く順番の作戦が立てやすかった」(鎌倉)

教室には、特色検査を終えて戻ってきた生徒たちの明るい声が響きました。昨年はだいぶ解きやすくなりましたが、今年も同じような状況でしょうか。

おわりに

2023年度受験生のみなさま、高校受験、本当にお疲れ様でした。

2月28日、結果が出ます。明暗分かれるのが受験。みんなが桜満開といかないところが受験のつらいところです。毎年伝えているメッセージですが、今年も伝えたいことは変わりません。

望まない結果になったとしても、自分を否定する必要なんてありません。

“普通に学ぶこと”の難しさ、自分を管理する大変さ、その中で身につけてきた豊富な知識量、効果的に学ぶ方法、集中できる環境の作り方、時間の使い方、我慢強さ・粘り強さ、仲間の存在の心強さ、頼れる先生との信頼関係、親のありがたみ、いかなる苦境にもくじけずに立ち向かう強さ──。

数えきれない経験とスキルを身につけ、そして自分を囲む人たちの温かさを知ることが出来ました。
そんなひときわ凄みのある受験、そう、今年も本当にキツかった受験を乗り越えてきたのに、結果だけ見て「意味がなかった」「やらなきゃ良かった」で片付けさせるわけにはいきません。

足りなかったこと、上手くいったこと、変われなかった自分、大きく変わった自分。それを次に生かせば、この受験は限りなく成功に近づきます。

最後に有名すぎる太宰治の一節を引用させていただきます。

学問なんて、覚えると同時に忘れてしまってもいいものなんだ。けれども、全部忘れてしまっても、その勉強の訓練の底に一つかみの砂金が残っているものだ。これだ。これが貴いのだ。勉強しなければいかん。

でも、その砂金は、いつまでもあなたを輝かせます。stay gold.
だから、前を向いて。

君が踏み出す次の一歩が、涙にまみれた一歩であっても、笑顔に溢れた一歩であっても、どちらも等しくかけがえのない価値のあるものです。その価値を僕は信じているし、その一歩を踏み出した君の勇気に最後のエールを送ります。

高校受験、お疲れ様でした。
良い、人生を。