鎌倉の進学塾 塾長が考える、受験と国語とその先のこと- Junya Nakamoto -
2019.02.05
面接試験で高得点を取るため、逆転を果たすためにはどうすればいいのでしょうか。コツと具体的な返答例をご紹介します。面接の練習は、自らを劇的に成長させることができる絶好の機会です。断じて「おまけ」の試験ではありません。本気で挑みましょう。
ほとんど変わりませんが2020版にリライトしたものがこちらです。
市販されているどの面接本を読んでも神奈川県高校入試の面接への有効な対策にはなりません。受験生たちが真剣に自分と向き合い、学校のことを知って、言葉を尽くして語ることが最善であることは間違いありませんが、”入試面接の仕組み “がそれを許してくれないこともあります。各校で例年面接最高点を取っている経験から神奈川入試面接の臨み方・準備、想定問答を公開します。
他県や私立の面接入試に臨まれる方も、志望動機や中学校生活でのこと、高校生活、将来へのビジョンなどについての内容は参考になるかと思いますので、ぜひご覧ください。
茅ヶ崎北陵やサイエンスフロンティア、緑ヶ丘、藤沢西など、各校の開示得点での満点・最高点やそれに準ずる得点を生徒は取ってきました。これらの点数をとった生徒たちは、決してテクニックがあったわけでも元から「しゃべり」がうまかったわけでもありません。自分とよく向き合い、「私」という人間をうまく言葉に表した上で、熱意を持って面接官にアピールができたからこその結果です。
6年前に面接試験が始まった当初は、懐疑的な意見がかなり多く聞かれました。「受験生のことをたった10分で評価をするのは間違っている」「内申3割に対して面接2割は大きすぎる」「面接では受験生の力は測れない」などなど。
しかし、6年が経ち、それらの声はほとんど聞かれなくなっています。面接の評価の仕方も多様化してきていますが、各受験生がきっちりと準備をしてくるようになってきているように思います。その結果、面接で差がつくという流れはやや縮小傾向にあるのかもしれません。
ただ、面接試験とそれに向けての練習は非常に有益です。受験する学校をよく知り、その学校をさらに好きになる格好の機会です。面接の練習を通して成長し、輝き、たくましくなっていく15歳の少年少女のまばゆいばかりの姿はそれは素晴らしいものです。
最初はおどおどと下を向いて、差し障りのないことを言っていた生徒が、数回の面接練習を通して見違えるように自分を語り出します。自分を表現する楽しさを知り、生き生きと未来を語って、面接入試本番に笑顔で向かっていきます。ただ勉強だけをしてきた人よりも、何十倍も将来に向けて充実した高校生活を送れるようになることでしょう。神奈川県の面接入試は、子どもたちの成長を促すうえで、大変効果的かつ意味のあるものとなっているのです。
決して軽んじてはいけません。万全の準備をして臨みましょう。五科目の試験の勉強も重要ですが、面接試験なくして神奈川の入試は語れません。面接は試されるものではなく、自分をアピールするプレゼンテーションの機会です。評価される質問事項も事前に予告されているため、受動的なその他の試験とは違い、能動的な「攻め」の姿勢を作れるものとなっています。
大切なことは
そして、忘れてはならないのは、最後の逆転の機会であるということです。
前置きが長くなりました。
それでは面接試験評価の概要と、話すべき内容、練習方法について見ていきましょう。
目次
まず、面接試験の評価とはどういうものなのか。
一言で言うと、
差をつける学校は一科目相当。差をつけない学校は全員満点。
となります。
「差がつく」学校については、最低値と最高値の間で20点以上も開きがあり、平均値と最高点の差も大きくなります。面接得点100点満点を、S値換算するとすべての学校で2割ですから面接得点を2倍することになり、その差は50点を超えます。こうなると面接は完全に6教科目。一科目の失敗くらいなら簡単に面接で取り返すことができるのです。
面接で差をつける学校は、これまでの過去数年間のデータから、どういう評価をすると自校に合った生徒が来るかを考えた上で面接をし、点数をつけているはずです。評価はすべて各校の「狙い通り」ということですね。求める生徒像に合致し学校の特色をきちんと把握している受験生に来てほしいと考えているのが「差をつける」学校であると言えるでしょう。
一方で「差がつかない学校」は、湘南や厚木などを筆頭に「受験生への信頼」を感じます。「うちの学校を受けてくる人に変な人はいない」という判断の結果、面接で差をつけないようにしているのではないでしょうか。他には、内申重視の学校が多く、面接で見たいことは内申点が物語っているということかもしれません。そんな中で、内申平均点最上位の川和はかなり差をつける学校ですし、横浜緑ヶ丘や大和などの進学重点エントリー校も比較的差をつける学校です。
細かく見ていくとすべての高校で質問される共通の観点が三つあり、各校独自で他の質問項目を設定することができます。必ず聞かれる観点は次の三つ。
共通の観点
それ以外にも学校ごとに追加で設定されている評価項目があります。これについては、神奈川県教育委員会の募集要項をご確認ください。(公立高校入学者選抜 選考基準一覧表)
学校ごとの観点
そして、実際の面接では各観点が5段階(3段階以上)で評価されると言われています。実際には詳細は明かされていませんが、神奈川県が発表した評価基準の例を参考にして、入学希望の理由を仮に考えてみると次のような形になるでしょう。
いずれも「具体性」が求められていることが分かります。中学校での教科や教科外の活動についても同じです。具体的で明確であり、主体性があることが高評価を得る鍵となります。言うなれば「具体度」こそが評価です。
では、どのように回答を組み立てていけば良いのでしょうか。次に面接で評価される項目別に、話しておきたい内容を見ていきましょう。
もっとも熱く語らなければいけない部分です。なぜ、その学校を選んだのかについて語ります。とりあえずテンプレ(よくある回答例)を紹介しておきましょう。
私が貴校への入学を希望する理由は、文化祭に訪れた時に先輩のみなさんがとても生き生きしていて楽しそうで、自分もこの中に混ざってみたいなと思ったからです。また、英語に力を入れているので、英語の力を伸ばしたい私にとって最適な環境だと思ったからです。
あなたが面接官ならこの受験生にはどの評価を出しますか?
上の基準にならっていくと下から二番めの評価、「◯」ですね。内申点でいうところの2です。
え? と思われた方、まだまだ修行が足りません。
面接シートならこれでもまだ許せますが、本番では全然足りません。おそらく面接官は同じ話を数十人単位で聞くことになるでしょう。完全に飽きています。文化祭で生き生きしていない高校生なんているんですかね…。高校が求めていることを答えていないという点、具体性が低い点、オリジナリティに欠ける点、面白みがない点、自己アピールをする気がない点で低評価です。
具体的に、ストーリー性を持って、自分ならではの高校の理念や校風に沿った答えを作り上げていきましょう。一つ一つの答えを掘り下げていき、そこに「私」が表れているか、学校への熱意が込められているか、「へー」と思わせることが出来るかがポイントです。そして、何より「攻め」の姿勢が必要です。
例えば、、、
貴校への入学を希望する理由は二つあります。第一に、〇〇高校生の優しさと状況判断の良さ、そして自ら行動する主体性に憧れたからです。きっかけは文化祭でした。食べ物を落としてしまった小さな女の子に、貴校の先輩がさっと歩み寄り、新しい食べ物を笑顔で渡している姿に心を動かされました。瞬時に判断を下し、相手のことを考えて、文化祭に来てくれている人を楽しませようというホスピタリティも強く感じました。
第二に、貴校での学びに対する強い興味です。説明会に参加したり、個人的に貴校の先輩に相談にも乗っていただいたりしました。そこで知ったのが、TOEICの全校実施とアカデミックキャラバンです。私は将来、複数の言語を使って世界中の人達をつなぐ仕事がしたいと思っています。社会人とレベルを比べることのできるTOEICのテストを学校として取り組んでいただけるというのは大変魅力的でした。高校生の間に仕事としてTOEICを使用できる800点のスコアを取り、大学ではそれ以外の言語を学んでいきたいと思っています。また、アカデミックキャラバンでは、社会の一線で活躍する方々の話を聞くことができ、一足早く社会人としての視点を獲得できるのではないかと考えたからです。以上です。
「え、長っ…」と思った方は、ある点で面接をよく知っていて、ある点で神奈川県の面接を分かっていないか、修行が足りないか(笑)です。
世の中でよく知られている面接のコツは、「面接とは会話である」「面接とは言葉のキャッチボールである」というものです。しかし、これが神奈川県高校入試では、落とし穴になる可能性があります。就職試験などでは、その人が会社にとってプラスになるかどうかを測る指標の、最も大きな軸が面接です。しかし、高校入試では学力検査があり、内申点があって、面接は第三の評価軸です。そのため、相手が質問してくれることを待っているだけでは、自分が言いたいことを言えなくなる可能性があります。面接官が自分が話したいことを聞いてくれるとは限らないからです。
とりあえず、抽象的に大枠だけ話しておいて、「それってどういうことですか」や「具体的には?」という質問をしてくれれば良いですが、そうなるとは限りません。それは、この神奈川県の面接試験の構造的な欠陥とも言える、「深掘りして質問するかどうかは面接官の先生に委ねられている」という点が理由です。神奈川県高校入試の面接は、学校にもよりますがキャッチボールになることが少ないということも知っておくべきです。基本的に面接官は受身で面接をすると考えておいた方が良いでしょう。
毎年「面接day」を設けて受験生を1日で15人ほど連続で面接をしている経験から言わせていただくと、面接をする方も相当大変です。積極的にどんどん質問していきたいのですが、評価をしなければいけないというプレッシャーもありますし、疲れから頭がだんだんと回らなくなってきます。的確かつ、相手の良いところを引き出す質問を常に出来るかというと決してそんなことはありません。ですので、最初からフルスロットルで自分が言いたいことを全部言ってしまわないと、伝えたいことを伝えられない消化不良の状態で面接が終わってしまうわけです。
「言いたいことを全部言え」
これが特に志望動機で必要なことです。そのためには、学校についてよく知らなくてはいけませんし、自分の将来についても考えなくてはいけません。「今」を一生懸命生きれば良いと考えるかもしれませんし、将来の夢なんて決まっていないと思うかもしれません。でも、大切なのは夢を語ることではありません。自分が進みたい方向性に対してのビジョンを持っているかどうかです。ただ「三年間を楽しみたいから」という答えを「立派な教育者」である高校の先生たちは求めていません。将来へのビジョンから逆算して、高校生活への展望を表現していきましょう。相手が求めている「もの」や「こと」を返していく練習と考えて、どんどんチャレンジしていくのも面白いのではないでしょうか。
昨年度横須賀高校を受験した生徒は、このアピールで面接官の先生から「君、いいねぇ」という感想を引き出したそうです。
続いて中学校での教科での学習意欲です。これは、「勉強面で力を入れて頑張ったこと」と言い換えて良いでしょう。力を入れる=意欲と捉えてまとめていきます。ここでも具体性が必要です。まずはテンプレから。
私が中学校で力を入れて取り組んだのは、英語です。はじめは苦手でしたが、復習を重点的に行うことで克服することができました。また、得意の数学を伸ばすことにも力を入れました。
これも評価は、「2」です。何百人もこんな感じで答えると思います。
足りないのは、具体性とオリジナリティーです。また、アピールしていく意欲も全然足りません。せっかく頑張って三年間も授業を受けてきて、定期試験を何度も乗り越えてきたわけですから、言いたいことはたくさんあるはずです。よく振り返りまとめていきましょう。回答例を次に示します。
得意な科目は数学と理科でしたが、苦手だった国語を頑張りました。具体的には、二つあります。一つは読解力を高めるために語彙を増やし、根拠を明確にしながら物事を考えるようにしたことです。二つ目は、学校の先生が求めていること、授業の意図を汲んで学習をするようにしたことです。提出物ひとつとっても、ねらいと目的をよく考え、そのねらいに沿ったものを作り上げるよう心がけました。その結果、三年間ずっと最高でも「4」しか取れなかった国語でしたが、最後の三年生の二学期で「5」を取ることができました。
<課題→解決のためのアクション→結果>という流れが作れると良いと思います。何を考えて、どう行動できるのか、自分はどんな人か、が伝わるように答えていきましょう。
ここでは、中学校での勉強面以外の積極的な取り組みを挙げましょう。
主体的かつ能動的な取り組みができたかどうか、自分の良さを発揮してクラスや集団に貢献できているか、というところがポイントです。この項目では、良い例だけを挙げておきましょう。この際に、受験する高校の特徴や校風をよく研究して、「ウケが良さそう」なエピソードを選ぶのも大切なことです。
陸上競技部での活動を頑張りました。個人種目のハードルでは、自分よりレベルの高い選手と比べて飛び方やフォームの違いなどを研究を重ねました。結果として、50メートルハードルで神奈川県3位の成績を残すことができました。また、四人で走るリレーでは、一人では味わえない大変さや仲間と協力する喜びを知りました。私はリレーで三走をやっていました。二人がつないできた大切なバトンをアンカーに良いポジションで渡さなくてはいけません。私の前の二人の頑張りも熱意も想いも、ちゃんと走りで表現できるように、いつも全力が出せるように、コンディションには人一倍気をつかってきました。
ここでは、具体的に高校生活で勉強面で何を中心に力を入れていくかということを語ります。「苦手だった社会の克服を頑張りたいです」では、全然ダメです。どういう手順でどのように改善し、自分を磨いていくかというストーリーが見えるようにしていきましょう。その高校だからこそできる学びや、環境や校風を踏まえて話せるようになるとなお良いです。
苦手な理科社会に力を入れていきたいと思っています。私は苦手科目から逃げてしまいがちだったので、それと向き合いたいと思います。苦手だったのは、必要性の理解が低かったこと、低い点数を取って嫌になってしまった自分の弱さが原因だと思います。受験勉強で苦労した中で、必要性と楽しさを知ることが出来ました。高校では、志が高い貴校の生徒に囲まれていますし、切磋琢磨しながら前向きに学べると思っています。
この質問に対しては、高校生活で勉強面以外で特に力を入れたいことを答えます。中学生は、高校生の「行事へのほとばしる情熱」に憧れを抱いていることが多く、この項目では行事について触れる人が多くなっています。自分の良さを伝えながら、その高校で自分ならどんな取り組みが出来るかどんどん話していきましょう。オリジナリティを出すなら、学校ならではの取り組みや活動について語っていくと良いでしょう。
主に文化祭で活躍できるようにしたいと思っています。私は、一つのことを最後までやり抜くということに自信があります。吹奏楽部での活動を通して、グループで何かを作り上げ、それを人前で披露する力を培ってきました。与えられた役割だけでなく、自分に求められていることが何なのかを把握して、取り組むことができます。そして、良いものが出来上がるまで諦めません。文化祭でも周りの生徒や来場した方に喜んでもらえるものを作っていけると思っています。
この項目はテンプレから。当然ですが、ダメな例ということです。
将来の職業については具体的にはまだ決まっていませんが、高校生活を通して見つけていきたいと思います。
10人に聞いたら7人くらいはこう答えます。
評価「△」ゆえに内申点なら「1」です。
どうしてでしょうか。
言うなれば、「そんなの当たり前」だからです。
中学3年生時点で将来の夢や具体的な職業が決まっている方が珍しいと思います。大人はすぐに子どもに夢を語らせたがりますが、現実も知らない、職業も知らない、自分がどんな力を持っているかも知らない、そんな中学生が具体的な将来の夢について語れるはずがありません。なので、この答えは至極まっとう、正直な回答と言えるでしょう。
では、なぜこの質問項目があるのでしょうか。
それは、「現時点」での自分を評価し、社会に投影してみたときに、何ができて何が足りないかを把握するために考えてみてほしいということだと思います。そして、それを職業に当てはめてみたときに、どの仕事だったら自分の良さを生かせるか、どう社会貢献し、生き生きと過ごしていけるか、というビジョンを描きなさい、というメッセージです。ここで言うことに対して責任なんて一切生じません。大げさでも大ホラでもいいと思います。ただ、それは「現時点での自分が見た将来の自分の景色である」という筋が通っていれば良いのです。「描くこと」その行為が重要なのです。
また、「質問するよ」と高校から予告されているにも関わらず、テンプレ例のような「逃げ」の回答をすることは、評価を著しく落とすことになりかねません。評価の観点で「将来の展望」にチェックがついている学校を受験する場合は、必ず具体的かつストーリー性のある答えを準備しておきましょう。
私は将来、雑誌や新聞のライターをしたいと思っています。世界中で起きていることについて、目にした事実と考えたことを私の言葉で発信していき、多くの人に知ってもらいたいと思います。その夢に向けて現在意識していることとして、「言葉」を大切にしています。正しい日本語や聞き取りやすい日本語で話し、書くということを心がけています。正しい言葉にこそ、想いが宿ると信じています。中学生の私はまだ視野が狭いので、高校に入って新たな友達との出会いや、ネイティブの先生とお話をさせていただく中で、文化や価値観の違いを学んでいきたいです。
こちらの項目は、特色ある学校や専門的な学科を設置している学校で多く聞かれる項目です。専門性に惹かれて、選んで受験しているはずですので、想いを正直に語っていきましょう。具体的かつ深く話せるようになっておく必要がありますので、在校生や卒業生に話を聞くなどして、イメージを固めておきましょう。
口ぐせや手の落ち着きのなさ、視線など。また、使う言葉の選び方や熱意・やる気などを見ているのではないでしょうか。ハキハキとした答え方で、少し前のめりなくらいの面接態度が良いと思います。多少、答えに詰まったり、噛んでしまったりしたことはマイナス評価にはつながりません。
気をつけたいこと
ここまで読んできて、各項目にある面接例を見て、「これを真似すればいいよね」「パクろう♪」と思った方は、面接で高得点を取ることは不可能です。面接はあくまで自分を見つめ、自分の言葉で自分を語るものです。嘘をついていると、話に熱がこもることはありません。大人(面接官)も馬鹿ではありません。ましてや常に高校生を相手にしている先生です。受験生が語っている言葉が、その場しのぎの付け焼き刃であるか、誰かの受け売りであるかなど簡単に見破ってくることでしょう。
相手が望んでいる答えを返すというのも、面接やコミュニケーションにおいて重要なことです。
自ら考えて行動する自主性や、海外大学進学への興味、難関大学への進学、文武両道など、学校が理念や求める生徒像で謳っている部分に寄せてストーリーを作っていくことも評価を得るためには重要です。
Q:想定外の質問は、どう評価されるのですか?
A:基本的には評価してはいけないことになっています。よくあるのが、「最近気になっているニュースはありますか?」というものですが、これも雑談や興味の域を出ません。一部、横浜国際やサイエンスフロンティアなどで「学科への理解」という評価項目があり、そこに科学や国際への興味・関心・理解ということを含んでニュースを聞いてくることがあります。この場合は評価項目となります。
Q:長所・短所がうまく答えられないのですが?
A:長所・短所については、直接問われることは少なく、また問われたとしても評価項目にはなりません。ただ、長所に関しては面接シートに記入した「よいところ」が志望理由や教科等・教科以外での活動に生かされていたか、という点で評価に含まれる可能性はあります。この辺りは、面接官及び学校のさじ加減かなと思われます。ですので、長所に関しては自分としてしっかりと理解しておくことが重要で、短所については何か言うことを準備しておく程度で良いでしょう。
Q:面接シートと違う内容を話してもいいのですか?
A:構いません。面接シートはあくまで補助的なものであり、評価対象とはなりません。逆に面接シートに書いてあることしか話さないのであれば、わざわざ面接の時間をとる意味がありません。どんどん積極的に深掘りした話や書いてあること以外の話をしていきましょう。面接シートを提出したあとも、志望校へ入りたいという気持ちは高まり続けているはずです。その情熱を具体性を持って話してみてください。
Q:緊張するとどもってしまったり滑舌が悪くなったりするのですが?
A:落ち着いて答えましょう。多少、答えに詰まることや噛んでしまうことも当然のようにあります。気にしすぎないことです。吃音の方も心配することはありません。「吃音気味なので、お聞き苦しいところがあるかもしれませんが、ご了承ください」と一言最初にことわっておくと、自分の気持ちが楽になるかもしれません。もし、吃音であるからマイナス評価をするというような学校があったとしたら、教育機関として失格ですので、そんな学校には行く価値がありません。
Q:言葉づかいが悪くて心配なのですが?
A:最低限の丁寧な言葉づかいはしてほしいと思いますが、正確でふさわしい敬語を使うことを意識しすぎる必要はありません。学校の先生との面接練習では言葉づかいやマナーばかり指摘をされますが、もっとも大切なのは内容に具体性があることです。適度な敬語・丁寧な言葉づかいについては心がける程度に留め、それ以上に内容の充実に力を費やしましょう。
Q:塾に通っていなくて、面接の練習をしてくれる人がいなくて困っているのですが?
A:ぜひ学校の先生とやりましょう。中学校生活で長い時間、あなたのことを見てくれて良き理解者である学校の先生との面接は、とても有意義になるはずです。良いアドバイスももらえるはずですよ。何人か当たってみて、ダメもとで校長先生に頼んでみるのもいいと思います。
ここまで長い記事を書いてきたのは、この面接試験を通して、中学生は必ずや成長を果たすと信じているからです。ぜひ、今一度自分を見つめ直し、会心の面接をして高校の面接官(先生)を驚かせてやりましょう。「今年の受験生は、みんないいこと言う」というような評価になったら嬉しいですよね。面接練習を重ねていくうちに、自分で自分を語るのが楽しくなってくるかもしれません。
最後に注意点です。去年まで面接で差をつけなかった学校が今年も同じような評価をするとは限りません。データはあくまでデータでしかありませんし、同じようになる保証はどこにもありません。各学校で前年の反省を踏まえて、今年の方針を決めているはずですから、もし昨年の募集がうまく行かなかった学校、思ったような生徒が集まらなかったと感じた学校、そして県立高校改革実施計画(II期)において新たな指定を受けた学校については、今年のやり方を変えてくる可能性も十分にあります。変化にも対応できるよう、どの学校を受ける方も万全の準備をしてください。