鎌倉の進学塾 塾長が考える、受験と国語とその先のこと- Junya Nakamoto -
2016.11.15
先回、中学受験と高校受験の向き不向きについて書きましたが、実際には、「公立中学校に行かせたくない・行きたくない」という理由で私立中学の受験を選ぶケースも少なくありません。今回は、昨今の公立中学校の現状で特に気にかける方が多い、内申点について書いていきます。
目次
「うちの子、内申が取れないと思うので」
そう言って私立中高一貫を検討する保護者の方、本当にたくさんいらっしゃいます。お気持ちはよく分かりますが、往々にして内申点の現状をよくご存知ないというのが実感です。
実情を知らずして大切な中学生活の道を絞ってしまうというのはいかがなものでしょうか。
別の理由で私学を選ぶならまだしも、内申点を理由に公立進学を避けるのは考えものです。
単刀直入に言いましょう。
最近の評価制度(内申点制度)は、、、、、、、、
(そこまで)悪くありません!
こんなところでしょうか。
先に言っておきます。ほとんどの問題は現制度ですでに解決をしています。
現在の内申点制度は各科目で観点別評価というものが定められているのです。これがなかなかに優れものなわけです。
「観点別評価」の合計によって「1」から「5」の評定がつくことになっております。
観点別評価は、その科目の項目ごとに A○/A/B/C○/C の五つの段階で評価が行われます。
A○:非常に満足できると判断できるもの
A :十分に満足できると判断できるもの
B :おおむね満足できると判断できるもの
C○:努力がもう少し必要とされるもの
C :努力を必要とするもの
Cは、先生からの評価としては「アウト」です。普通に学校生活を送っていればそうそうつくことはありません。
そして各科目によって定められた観点にこのA○〜Cの5つの評価がなされます。
そして、その合計点で初めて1〜5の評定がつくのです。
【A○(5点) A(4点) B(3点) C○(2点) C(1点)】
※観点別の合計点で「1」から「5」の評定を決めます。
観点は国語が5つ、その他の科目は4つです。
評定(国語を除く)
「5」 20点 ~ 18点
「4」 17点 ~ 14点
「3」 13点 ~ 11点
「2」 10点 ~ 8点
「1」 7点 ~ 4点
となっています。
観点別ということは、それぞれ具体的に「何をがんばればよいのか」が把握できるようになっているということです。目先の「1」から「5」の評定に捉われず、観点別を分析していく姿勢が必要です。
では、観点とはどのようなものなのでしょうか。
などです。
それぞれの観点に影響を与える日頃の学習材料も明示されます。
テストだけをがんばっても「5」がつかないことがあるということです。
評定が悪い時の対策もしやすくなります。
「1」から「5」の評定が芳しくないときは・・・
といった形でチェックとアクションをしていきましょう。
大切なことは、「定期テストだけできればよい」というわけではないということです。
一回の提出物、一度の居眠り、一度のおしゃべりが、成績に響いてくるということです。
観点別評価の導入により、定期テストも変わっています。
合計点が意味を持つのではなく、観点別の点数が意味を持ちます。
合計90点よりも全ての観点で9割の得点を取ることの方が大事だということです。
例えば、、、(国語の期末テスト)
Aくん 合計91点/100点
- 観点① 読む 26/30 86% →A
- 観点② 書く 25/30 83% →A
- 観点③ 言語・知識 40/40 100% →A○
Bくん 合計90点/100点
- 観点①読む 27/30 90% →A○
- 観点② 書く 27/30 90% →A○
- 観点③ 言語・知識 36/40 90% →A○
Bくんは「5」の可能性が高くAくんは「4」止まりの可能性が高くなります。
(もちろん定期テストだけで決まるわけではありません)
点数が明確化しているので、「おまけで『5』にしてやろう」とか「あいつは気に入らないから『3』にする」とかも減ります。
以上です。最後までお読みいただきありがとうございます。
内申を理由にするのではなく、本人と向き合い、学校をよく知った結果としての進路選択をしていただければと思います。
次回は、世間を賑わせている「忙しすぎる部活動」について書きたいと思います。