鎌倉の進学塾 塾長が考える、受験と国語とその先のこと- Junya Nakamoto -
2019.10.05
自由でありながら芯のある教育観で常に質の高い教育を提供し続ける栄光学園。卒業生の隈研吾による栄光らしさ溢れる新校舎がその魅力をさらに引き立てます。近隣の保護者・受験生にとって憧れの学校である栄光学園の入試問題はどのようなねらいで作られていて、気をつけるべきポイントはどこなのか。実際に栄光学園の先生方から説明をうかがった内容をお伝えします。
まずは栄光学園の中学校入学試験における「ねらい」と、何を意識しながら問題を作っているかについて望月校長先生にうかがいました。
案外盲点かもしれないのが、指導要領内・教科書内にこだわっているというところですね。栄光は高偏差値の学校ですので、例えば社会の知識などはマニアックなものが求められているかと思いがちですが、むしろ背景や他の出来事と結びつけて考え、言葉や文章で説明できるかが最重要となってくるということですね。
「覚えただけの知識は、知識を消費したに過ぎません。知識をもとにそれを活用して最適解を求めていく力が重要です。そうした学びを体験してきてほしいし、そういう学びが嫌いでない生徒が栄光学園に向いている生徒だと思います。中学入試問題では、そういった意識を表現しています。だから、結論を導くためのプロセスを書いてもらったり、ある程度の長さの「文章」を書く問題を出題したりしています。」(望月校長)
表面的な知識や、とにかく量をこなすことによって身につけた力では対応できない、原理・原則の理解と、本質的な思考力が求められるのが栄光の入試問題と言えるでしょう。5分でまとめた解説動画もありますのでそちらもご覧ください。
ここからは各教科の出題のねらいと対策、準備しておくと良いことについて、学校から説明があった内容を箇条書きにまとめました。
算数の入試形式 | |
配点 | 70点 |
試験時間 | 60分 |
国語の入試形式 | |
配点 | 70点 |
試験時間 | 50分 |
理科の入試形式 | |
配点 | 50点 |
試験時間 | 40分 |
社会の入試形式 | |
配点 | 50点 |
試験時間 | 40分 |
説明会の個別相談等でよくある質問について教務部長の宇佐美先生からお答えいただきました。
Q:教科ごとの必要な基準点はありますか。(教科ごとの足切り)
A:ありません。あくまで合計点で選抜します。
Q:ボーダーライン上で同じ点数だった場合はどうなりますか?
A:同じ判断基準とします。合格なら全員合格、不合格なら全員不合格です。2019年度は合格最低点である142点の人は全員合格としました。
Q:通学区域を設けているのはどうしてですか?
A:家庭学習や放課後の学習も大切にしたいという思いがありますので、通学時間が長すぎるのはあまり好ましくないと思っています。徒歩や公共交通機関を利用して自宅からおよそ90分を超えない時間で通学できる区域としています。
Q:英語入試を導入する可能性はありますか?
A:入試科目とするかどうかは現段階では様子見です。
Q:変わった問題が多いですが、どのような意図で出題されていますか?
A:栄光はずっと思考力を問う問題を出題してきています。他の学校も思考力系の問題が増えてきているので、最近は目立たなくなってきているように思いますが、首都圏模試が出している思考力コードでいうと栄光の問題はかなり深めの問題と言えるようです。
Q:算数の試験時間が国語より10分長いのはなぜですか?
A:時間がないと生徒たちの思考力が測れないと思っています。じっくり考えて取り組む時間としてほしいので、時間を長めに取っています。
Q:途中の説明を求める問題(途中式)で部分点はありますか?
A:あります。途中点を与えられるように作問しています。
Q:記述問題の解答が不完全な文の場合でも部分点はもらえますか?
A:部分点はあります。
Q:以前は記述問題で字数指定はほとんどありませんでしたが、2019年度の問題から字数指定になった理由はどうしてでしょうか?
A:これまでも細かな字数までは決めていませんでしたが、枠は作ってありました。二行半とか。解答欄の枠の大きさが解答のヒントになる形でした。字数を指定する形になりましたが、基本的なねらいは今までと変わっていません。(校長先生)
Q:理科で出題分野が偏っているのはなぜですか?
A:科学的な題材について小学生なりに実験・観察・考察ができるか、ということを大事にして出題しています。そのため、結果として分野が偏ることもあります。
以上、栄光学園の入試問題のねらいや攻略のための準備について学校が提供してくれたヒントをご紹介いたしました。
国語の問題で言えば、栄光学園はもしかすると独創的な解答にも得点を付けているのではないかと思っていましたが、そうではないということが明らかになりました。あくまで文章中から読み取る、抽出する、ということが肝要です。
全体として言えることは、決して小手先の学習や量だけの学習、受け身の学習では乗り越えられない問題が栄光では出題されます。塾での学習の中でも「どうしてそうなるのか」「自分なりに説明してみると」というアプローチを常にしていくことが栄光学園の問題を攻略していくためには必要です。
また、それは日々の生活でも同じです。疑問に思ったこと、興味を持ったこと、もっと知りたいと思ったことをとことん突き詰めてみてください。その時に周りの大人に聞いたり、本を読んだり、インターネットで調べたり。自分の「謎」を解明するその心が、栄光学園合格への道を開きます。それはきっと塾の「栄光対策」よりもずっと本質的で、栄光学園が求めていることに合致するはずです。