鎌倉の進学塾 塾長が考える、受験と国語とその先のこと- Junya Nakamoto -
2019.10.01
2020年3月から「かまくら国語塾」を始めます。「国語塾」というと入試での国語の得点や偏差値を上げていくためのもの、と勘違いされそうですので最初にお伝えしておきますが、「目的が受験」の方向けではありません。言葉と、文章と、時間をかけてとことん向き合っていくのが、かまくら国語塾です。
書きたいこと、読みたいものを、どこまでも。
「鎌倉で」そして「どこでも」国語を探究できる空間、「かまくら国語塾」スタートです。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて開講を4月4日に延期いたします。詳細はこちらの記事をご覧ください。
目次
受験そのものや受験勉強を否定しているわけではありません。でも、受験というものを突き詰めて仕事にしていく中で、受験以外の学びのベクトルを創り出したいという気持ちが強くなりました。「やらなければいけないこと」や「範囲」に縛られて、また点数や評価に一喜一憂するという窮屈さから学びを解放し、もっと自由で楽しい学び場を。
そんな想いを抱えていた時に出会ったのが、ナンシー・アトウェル「イン・ザ・ミドル」でした。この本の中で実践されているライティングワークショップ、リーディングワークショップは子どもたちの自主性を最大限尊重した作文教育・読書教育で、天啓のように自分が描いていたイメージとマッチし、心を震わせながら読み進めました。この二つの国語ワークショップをベースに開講するのが、かまくら国語塾です。
私自身も小学生の息子を持ち、また友人たちの子育て相談も受けていく中で、特に小学校高学年での受験以外の子どもたちの体験の選択肢がいかに少ないか、という現実に直面しています。それこそ受験か、スポーツか、ピアノかといった様相です。
かまくら国語塾はそこにも挑戦していきたいと思います。文章を書くこと、本を読むことが、子どもたちの日々の行動の選択肢となるように──。
作文なんて嫌い、読書なんてしたくない、そんな声をたくさん聞いてきました。でも、子どもたちは自分が好きなことはどれだけでも書けるし、面白い本に出会うとどこまでも読書にのめり込んでいきます。型にはまった「目的のための作文」は子どもたちを作文嫌いにし、「無理強いされた読書」は子どもたちの読書離れを引き起こします。
もっと書きたい、もっと読みたい。
子どもたちのその気持ちを大切に。
どこまでも書ける場所、ひたすら読める場所が「かまくら国語塾」です。
かまくら国語塾では、時間も形式もテーマすら設けません。書く技術や素晴らしい作品を紹介し、ちょっとしたアドバイスを送ります。想いを、体験を、言葉にしてみませんか?
かまくら国語塾では、ジャンルも目的も読む姿勢だって自由です。美しい表現や様々な本を紹介し、ちょっとした意見交換を実施します。先人たちの言葉の海へ出かけてみませんか?
一人ひとりの「書く体験」、「読む経験」に寄り添います。子どもたちの内なる声に耳を傾けます。
言葉を編む楽しみを、一緒に探していく場所に。
ぜひ、webサイトもご覧ください。
対象は小学4年生〜6年生です。
異年齢集団で行うレッスンも特徴の一つとなっています。
かまくら国語塾はライティングワークショップとリーディングワークショップという、すでに英語圏の学校で多く実践されてきている授業形式をベースにレッスンを行います。日本でも小・中学校で実践されている先生がいらっしゃいます。これらの実践を踏まえつつも、私塾ならではのエッセンスを加えて子どもたちと向き合っていきたいと考えています。
ライティングワークショップは「書くこと」について、とにかく自由な時間です。
題材集めから完成までの一連の書くプロセスを生徒が体験し、その中でレッスンを行います。「良い作品を書かせること」よりも「良い書き手を育てること」を目指していくワークショップです。
また、ライティングワークショップでは、完全に生徒が主役です。イギリスのナショナル・ライティング・プロジェクトUKが作成した書き手の権利10ヶ条を遵守しながら、「安心できる場づくり」を心がけます。(ポスターデザインはオリジナルです)
Google classroomを活用して各生徒に一アカウント付与します。そのアカウントを通じてレッスン後もカンファランス(個別相談)や意見交換を行います。その日のミニレッスン(先生による書く技術の紹介)の内容や、授業中の先生のアドバイスも共有されます。
書きたい時に書けるように。また、アドバイスがもらいたい時にもらえるように、ICTを活用して家でも図書館でもどこでも作品を執筆し、写真を撮ってGoogle classroomにアップすれば先生に見てもらうことができます。教室という箱を飛び出して生徒の書く自由をより追求できる形です。
リーディングワークショップは、子どもたちの自由な読書を促進するものです。どんな本が好きなのか、次にどんな本を読めば自分の世界が広がるのか、そして他の人にどう紹介していくか。読むことの楽しみと広がりを知り、読書を共有する喜びを体験するのがリーディングワークショップです。
※リーディングワークショップについては2021年度より開講する予定です。
この話をすると「すばる辞めるんですか?」という反応が多数寄せられますが、すばるを去るわけではありません。
むしろ、かまくら国語塾の運営法人はすばるですので、すばるの新事業という位置付けです。ただし、冒頭にも書いたように「進学」「受験」とは完全に一線を画します。
「国語の偏差値だけ低くてーなんとかしたいんですー」とかいう人は本当に願い下げなのでご注意くださいね。
今回のこの事業は、国語を武器に生きてきた中本の「国語という学びへの想い」を形にしたものです。そして、小学生の我が息子に対して一番提供したい「学び場」ってどんなものかな? ということを意識してプログラムを組みました。だから、超本気です。
かまくら国語塾に入会するにあたっては、保護者の理解と子ども本人の「やってみたいかも」という気持ちが大前提です。第一期生募集にあたっては、いずれかのワークショップにご参加いただくか、前掲の「イン・ザ・ミドル」を読んでライティングワークショップへの理解をしていただくことが条件となります。
webページからお申し込みください。初年度募集が落ち着きましたらその後は有料のワークショップを年に数回実施してまいります。第2回と第3回は入塾説明会後にそのままワークショップにご参加いただく流れとなります。
いずれも12月2日から受付開始となります。webページ/SNSで告知します。
詳細はwebページをご覧ください。
今回、このかまくら国語塾をスタートするにあたって、多くの方に助言と応援をいただきました。特に「イン・ザ・ミドル」の訳者である澤田英輔先生との出会いは、茫漠としていたこの事業の方向性を定め、新事業を始める勇気につながりました。また、いつも的確な助言と刺激を下さるJumpstart桑畑健さんには頭が上がりません。忙しい中ロゴ制作もしていただきました。本当にありがとうございます。
webページは鎌倉のIT企業Budding松本裕さん、「書き手の権利10ヶ条」はすばるの卒業生デザイナー河内優奈さんに制作してもらっています。いつも助けてくれてありがとうございます。
開講は半年後とまだ当分先のこととなりますが、これからワークショップ・募集と順次始まります。
twitterやfacebookでは開講までの準備の状況や募集情報などを発信していきますので、シェアとフォローで応援いただけると大変嬉しいです。
また、おそらく私塾としてライティングワークショップ/リーディングワークショップに取り組むのは相当レア(日本初?)だと思います。今後導入に興味がある方、一緒に実践を研究してくださる方がいらっしゃればご連絡ください。(実際始まってみなければ分からないことばかりですが)
初年度定員は10名ですが、水平展開や学校現場への逆輸入など展開を広げていくことも考えています。
以上、どうぞよろしくお願いします!!