鎌倉の進学塾 塾長が考える、受験と国語とその先のこと- Junya Nakamoto -
2020.10.27
「鬼滅の刃を極めたい! だから、言葉の意味をもっと分かるようになりたい」。鬼滅にハマり始めた息子の一言から“鬼滅のことばノート”が始まりました。毎日一語ずつコミックから「ことば」をセレクトして、意味・用法・漢字・ちょっとした豆知識などをまとめることに取り組んでいます。
非常に効果的ですし、何より子どもも親も楽しい。
受験塾で国語指導をしている立場からも、父親としての目からも、良い感じで言葉と触れ合える時間となっているので、参考になればと思い、作り方・取り組み方をまとめました。
鬼滅の刃“で”学ぶのではなく、鬼滅の刃“と”学んでほしいですね。
鬼滅を大好きな子どもたちの「言葉の力」が、どんどん伸びていきますように。
目次
今回は「鬼滅の刃をさらに楽しむため」の言葉の学習について書いていきます。ご存知の通り、鬼滅にはかなり難易度の高い語彙が頻出します。響きやタイミングもよく練られていて大変印象的です。
せっかくですので、それらの言葉の意味をきちんと理解すれば、キャラたちの気持ちの機微や物語の深みをもっと知ることができ、鬼滅の刃を100倍楽しめるようになるはずです。
「親子で楽しむ鬼滅のコトバ」。ぜひチャレンジしてみてください。10歳くらいからかな、と思いますが、もちろんもっと低学年でも大丈夫です(ちなみに息子は8歳です)。
記事後半には「学びたい語彙リスト」のデータを置いておきます。ダウンロードフリーです。
語彙リストは、こんな感じでレベル分けしてあります。
どの言葉を選んで取り組んでいけばいいかという参考にしてください。
(リストは10月末現在5巻まで。随時追加していきます。追加情報はtwitterで確認するか、しばらくしたらまたブログ見にきてください)
ノートはルーズリーフやA4コピー用紙、国語辞典はスマホで代用できそうですが、いずれも効果は半減します。毎日の取り組みを「蓄積」していく必要性と、一冊やり切った達成感において、ノートは圧倒的な価値を発揮します。国語辞典については後述しますが、スマホでは見過ごしてしまう情報が、紙の辞典には山ほど詰まっています。
ノート
ノートはテンション上げるためにも絶対鬼滅の刃の柄でいきたいですね(結構すぐ売り切れちゃうみたいです)。他の用途でも使いやすいキャンパスA罫は特におすすめです。本人と一緒に選んでカートに入れるところからやれると気持ちも高まります。
サイズはB5で良いと思います。もちろんA4でもOKです。
プリンタ複合機
プリンタ(複合機)がないとコピーが出来ません。自宅にコピー機があると、いろいろな学習が捗りますので、一台あると便利ですよ。とりあえず、brotherをお勧めしておきます。プリンティングは速いですしブレも少なく、消耗品も比較的リーズナブルかと思います。
国語辞典
辞書学習もこの取り組みの重要なポイントです。それも紙の辞書で調べることに、より意味があります。言葉がどういう順序で並んでいるのか、その他の意味はあるのか、同音異義語としてはどういうものがあるかなど、「めくる」ことで、取り入れられる情報量は飛躍的に増えます。
現に息子も調べている最中に「寄り道」をして他の言葉を読んでいることもあります。
自分で調べてほしいので、調べやすい小学国語辞典があると最高ですね。
なければ大人用でもいいですが、辞書で調べても“辞書に書いてあることの意味”が分からないと調べ学習をする意欲は急速に失われていきます。小学生用は振り仮名がついていて説明もわかりやすく、二色ずりで見やすくなっています。
息子が使っている我が家の辞書はこちらです。
ちなみに、「生殺与奪の権」と「笑止千万」が載っていなかったので、それらは大人用の辞書をコピーしました。。。
ご褒美シール
ご褒美シールの威力を馬鹿にしてはいけません。終わったら一つ貼る、という行為は自分の中での達成感の見える化でもあり、シールを選ぶ楽しみも意外とあります。これは高学年でも割と言えることです。
取り組み表みたいなものを作って壁に貼り、シールをつけていくのもいいでしょう。
鬼滅モノだとより良いかもしれませんね。
言葉に親しむ。親子で取り組む。そして、楽しむ。
鬼滅の刃を通して親子で楽しみながら、イケてる言葉をどんどん覚えて使えるようにしていければと思っています。ひいては、鬼滅の刃という珠玉の作品を髄まで味わい尽くすことがねらいです。
また、親子で取り組むことでコミュニケーションを図れます。
子どもが孤独な作業をするのではなく、一緒に作っていく感覚もまた素敵な時間です。
この取り組みでは、紙の辞書を使います。辞書を引くことを「言葉の海に飛び込む」というような比喩で表現することがありますが、スマホやPCで調べたら決して味わうことの出来ない言葉の海に、子どもたちが漕ぎ出す絶好の機会になります。
「辞書に触れること」も大事なねらいの一つです。
使用するのは一回で見開き1ページです。右側に漫画の切り抜き、左側に記入する形となります。
記事最後にある語彙リストを見ながら、言葉を一つ選んで該当ページをコピーをします。
(個人使用ですので著作権侵害にはあたらないはずですが、問題があるようでしたらご指摘ください)
141%コピーにするとB5ノートの縦にうまく収まりますね。
コピーしたページの余分をハサミで切り、ノートに貼りましょう。丁寧に貼ってあげないとあとではがれますし、見直す気が失せてしまいます。オリジナルの鬼滅辞書を作成するつもりで、一つひとつを大事に作業していくと良いと思います。
本人にとって親近感があったり、なるべく面白く興味が持てたりしそうな例文を書いてみてください。腕の見せ所です。もし、いい感じのが思いつかなかったら、保護者はこっそりスマホで例文検索してもいいかもしれません(見つからないように)。
(例)生殺与奪の権を社長が握っているような会社は超ブラック企業ですね。
魅力的なことばがたくさん出てくるので、意味と共に漢字が分かるようになると素敵です。ただ、ここで欲張りすぎてもいけないので、「熟語で出てきている漢字の訓読みを紹介する」くらいの気持ちで準備してあげるといいですね。
「難しいけど書いてみよー」というテンションで欄を作成しましょう。
ここまでで準備完了です。大変なように思えますが、慣れれば10分もかからずに出来ます。
ここからが子どもの取り組みです。まず、選んだ言葉を書き入れて、その言葉を辞書で調べます。ここが一番重要です。
辞書に慣れていない場合は、最初の頃は一緒にやってあげると良いですが、慣れてきたら自分で出来るように少しずつ手を引くようにしましょう。「辞書を自分で引くこと」の効果は絶大です。
最初は辞書に載っている用例を使って例文作成をしましょう。子どもからすれば、「写すだけ」です。でも、写すときも慎重に言葉を書いていけるといいですね。意外とこれが難しいので、チェックしてあげるといいかもしれません。
応用編としては、主語や修飾語を自分流に少しアレンジしてみても楽しいですね。
(例)間髪入れずに目覚まし時計を止めて二度寝した。
慣れない漢字もたくさん出てくるわけですが、かっこいい言葉もひらがなで書くと魅力が半減します。この機会に漢字を覚えてられると今後の熟語学習などにもつながっていくのではないでしょうか。
出来れば毎日一つ。難しければ三日に一つくらい。
とにかく継続することが大事です。
そのためには楽しまなくてはいけません。「義務」になった瞬間、効果もやる気も雲散霧消します。
盛り上げていきましょう。褒め方はなんでもいいです。横にいるなら「字が上手だね」とか「難しい漢字トライしてるね」とか「この言葉使えるとかっこいいねー」などなど。
鬼滅の刃の漫画のシーンを褒めるだけでもいいです。一緒に取り組んでいる感じ、興味を持っている雰囲気を出していきましょう。
読書をしなくても、漢字の勉強をしなくても、国語のドリルを解かなくても、毎日これに取り組めば飛躍的に言葉の力が高まります。
「勉強しなさい!」じゃなくて「今日の鬼滅のコトバ、何?」と声をかけてあげればいいですよね。これは双方にとって精神衛生上もプラスなのではないでしょうか。
また、一緒に取り組むことが大事です。慣れてきたら本人にやらせてもいいですが、最初はコピーしてノートに貼って、記入欄を作るところまでは保護者の方がやるといいでしょう。保護者が例文を書くのも、本人のやる気を喚起することになると思います。
あくまで「勉強のため」にやるのではなく、「鬼滅をもっと知りたいからやる」「鬼滅が好きだからやる」という方向に持っていけるといいですね。
長く続けるために。飽きさせない工夫を。
シールを貼ったり、たまには絵を描いたり、いきなり巻数を飛ばしたり、子供のお気に入りのキャラクターで数日間続けたり、これまでにやった言葉をまとめたりする、など色々と方法がありますね。
ご家庭の方針にもよりますが、鬼滅がらみのご褒美作戦も悪くはないと思います。この鬼滅のことばノートが充実してくれば、ノベライズ版も読めますので、それをご褒美にしてみると自分の成長も実感できそうです。
自由にダウンロードしてください。
レイアウトのテンプレも一応作りましたが、これは手書きでも十分です。
テンプレを印刷してノートに貼る。コミックのコピーをノートに貼る。という感じでダブルで貼り付けだとノートが分厚くゴワゴワになってしまいます。
学齢や子どもの語彙力に応じてセレクトする言葉を変えていけるといいと思います。言葉の難易度を参考としてください。
気をつけていただきたいのは、子どもは意外と簡単な言葉も知らないということ。例えば、「尊重」「指摘」「くじける」などは大人からすると説明するのも難しいレベルの言葉ですが、小学生は理解していない、ということも多々あります。
1〜5巻で161個。多いようですが、★の数を参考に選べば良い感じでいけるでしょう。リストを見ながら子どもと一緒に選んでみてもいいかもしれません。
改めて大切なのは「自分のノートを作ること」です。
今後「小学生なら知っておきたい鬼滅の言葉」みたいな本が出ると思いますが、眺めているだけでは語彙は増えません。読んで、調べて、使って、初めて言葉は身につくものです。
ぜひ親子で楽しんで取り組んでみてください。
最後に、謝辞を。
鬼滅のおかげで息子が「ことば」にすごく興味を持つようになりました。難しい言葉を使ってみたり、言葉の意味を聞いたりということがすごく増えています。
また、息子は友達作りがあまり上手ではないのですが、鬼滅の刃ドンジャラを買ったことで、友達がたくさん家に遊びに来てくれるようになりました。
息子の世界の広がりを、『鬼滅の刃』が与えてくれています。
吾峠さん、本当にありがとうございます。