受験を超えて

鎌倉の進学塾 塾長が考える、受験と国語とその先のこと- Junya Nakamoto -


【dosh.】2024年度自己採点平均の公開と考察

2024.02.15


受験生のみなさん、五教科の共通選抜を終えましたね。評価の形が変わったり、入試制度がマイナーチェンジしたりと変化を乗り越えての受験、よく頑張りました。

受験生をサポートしてくださったご家族の皆様や学校・塾の先生方、大変お疲れ様でした。また、これから追検査を受けられる方々、周りの「終わった!」という空気感の中、入試に向かうのは並大抵のことではありません。でも、十分にチャンスが残されています。あとひと踏ん張り、です。

公立高校入試の結果が出るのは二週間後です。その間、入試にまつわるいろんな話が飛び交い、学校によっては卒業遠足を予定しているところもあるようです。長くて心休まらない二週間を過ごすことになります。

モヤモヤや後悔、達成感と心配など、説明のつかない感情が渦巻いているかと思いますが、ひとまずここまでやりきった自分をねぎらい、ゆっくり休んでください。

そして、これまで我慢していた友達との遊び、スポーツ、ゲーム、YouTubeなどやりたいことたくさんやって、たっぷり遊びながら、少しだけ受験勉強の日々や中学校三年間を振り返る時間も作ってもらえればと思います。

さて、dosh.(岡本塾・慧真館・すばる進学セミナー)では、今年も自己採点結果を共有し、平均点を公表いたします。各教科の難易度・ボーダーライン(合格最低点)予想や終わったばかりの特色検査についても触れていきます。

2024年度入試難易度、dosh.の見解

2024年入試の難易度について様々な憶測が流れていますが、雰囲気でも所感でもなく、80人前後の受験者の自己採点を踏まえ数字を根拠とした、dosh.としての見解をお伝えします。(難易度は2023年度との比較です

2024年入試難易度dosh.の見解
    • 英語:難化
    • 数学:昨年同等
    • 国語:難化
    • 理科:やや易化
    • 社会:やや難化

全体として文系科目が難化し、5科目のバランスが急激に整った印象です。得意・不得意が総合点に与える影響が減り、試験として有効に機能するようになったと言えます。

 

過去問や模擬試験と比較して、苦しく悲しい想いをした受験生のみなさん、本当に大変でしたね。どうか自分を責めないでください。傾向や難化に左右されないように本質を捉える指導をするのは、私たち塾側の責任です。

今はゆっくり心と身体を休めてください。

2024入試の動向や問題分析、特色検査についてや、STEP平均について話すYoutubeライブを2月16日(金)22:15~公開します。

わけあってdosh.TVは今回が最終回です。理由については、ライブの中でお話しさせていただきます。
コメントも拾いながら、例年以上に楽しく話す予定です。入試を終えてぜひリラックスした状態で、ぜひご覧ください!

(チャンネル登録とリマインダー設定、プッシュ通知をお願いします!)

dosh.2024年度自己採点平均点

続いて自己採点結果を公表します。全体の平均点に加えて偏差値グループごとに分けた平均点もあわせてご覧ください。“各校ごと”ではないのは、受験者が一人の学校などは点数が参考にならない場合があるのと、個人の特定を避けるためです。

今年は翠嵐・湘南の受験生が10名前後いますので、翠嵐・湘南平均も公表いたします。

    • グループ1:湘南・横浜翠嵐・厚木・柏陽・川和(20人前後)
    • グループ2:横浜緑ケ丘・横浜サイエンスフロンティア(10人前後)
    • グループ3:神奈川総合・希望ケ丘・小田原・光陵・横須賀・平塚江南(10人前後)
    • グループ4:横浜平沼・鎌倉・市立金沢・茅ケ崎北陵・海老名・横浜国際(15人前後)
    • グループ5:市立桜丘・市立東・港北・座間・秦野・七里ガ浜・大船・藤沢西(15人前後)
    • グループ6:鶴見・みなと総合・横浜清陵・横須賀総合・金井・深沢(5人前後)
    • 翠嵐・湘南(10名前後)

dosh.全体の平均点は、すべての科目が70点台とかつてない教科間バランスの良さを見せています。グループごとの状況について触れていきます。

グループ1

グループ1は、学力向上進学重点校(SYAHK)の5校です。五教科の平均点が442点となり、昨年より高くなっていますが、これは翠嵐・湘南を受験する生徒が多かったためで、各校の平均点は下がると思われます。

得点力のあるメンバーが集まるグループ1。昨年の国語の平均点は93.5点でしたが、今年は86.5点とダウン、難化と言われている英語も昨年よりも上げてきており、グループ1のメンバーにとっては、“差がつかない英語”は例年通りということになりました。

特に柏陽は特色検査がかなり合否を左右することになりますが、柏陽・厚木は410点前後、川和は400点前後を予想します。

グループ2

グループ2は、学力向上進学重点校エントリー校の中でも高得点帯に位置する緑ケ丘とそれに匹敵するサイエンスフロンティアで構成されています。グループ2は大幅ダウンとなりました。特に英語で10点以上下げているので、グループ1以外の学校では英語での大苦戦が予想されます。

おそらく緑ケ丘は昨年の合格者平均よりも25〜30点近く下げる結果となるのではないでしょうか。もちろん、特色検査の結果にもよりますが、昨年よりも倍率が上がっている緑ケ丘は400点前後、サイエンスフロンティアも400点前後がボーダーラインの一つの目安となりそうです。ただし、緑ケ丘もサイエンスフロンティアも特色検査の割合が2です。特色検査次第で結果は変わります。

グループ3

グループ3は、全県模試偏差値帯では65〜67のグループ。こちらは405点となりグループ2と逆転が起きています。昨年と比べて4点しかダウンしておらず(dosh.比)、実力を発揮できた生徒が多かった印象です
ここも実力派が受験する進学重点エントリー校が並んでいるため、高い合格者平均点となっています。ボーダーラインは希望ケ丘・光陵・神奈川総合・小田原は380点、横須賀・平塚江南370点程度を予想します

グループ4

グループ4は、全県模試偏差値帯では60~65のグループ。こちらは367点となっていて、昨年と比べて15点ダウンしています(dosh.比)。理科は上げているものの英語・国語・社会で大きく点数が下がっています。ボーダーラインは350点〜370点あたりを予想しますが、もっと下がるかもしれません。横浜国際・市立金沢・茅ケ崎北陵が355点前後、人気の高い鎌倉は370点あたりでしょうか。鎌倉・茅ケ崎北陵のボーダー付近の受験生は、内申の割合が3:5から4:6へとわずかに上がっているため、内申点も重要です。さらに、5:5の横浜平沼はギリギリの状況から内申点の影響力で逆転する人も増えてきます。

グループ5

グループ5は、全県模試偏差値帯では55〜60のグループです。年度によって振れ幅の大きいゾーンです。昨年よりも20点平均点を下げました(dosh.比)。国語・英語が10点以上下げており、影響が大きくなっています。ここから判定はしづらいですが、ボーダーラインは310~330点あたりを予想しますが読みにくいです。七里ケ浜は325点、学力検査の割合が7の大船は325点、倍率の低かった秦野は310点台まで可能性があります。桜丘は340くらいでしょうか。

グループ6

グループ6は、全県模試偏差値帯では50~55のグループです。dosh.からの受験者が昨年は5名未満だったため、昨年との比較は難しいのですが、国語・社会のダウンが目立ちます。学校によっては、260点前後がボーダーラインになるところも出てきそうです。

翠嵐・湘南

dosh.の翠嵐・湘南の2024平均点は449点となりました。翠嵐・湘南のdosh.受験生たちには英語の難化はまったく感じさせない結果でしたが、数学が取りきれなかったのと、国語が9割に載っていないのは注目ポイントですね。おそらく合格者平均点は昨年よりも下がるはずです。翠嵐は450点前後、湘南は440点前後となるのではないでしょうか。

例年であれば、翠嵐のボーダーラインは440点前後、湘南430点前後と言いたいところですが、今年は翠嵐で特色検査の割合が3、湘南でも2となっています。最後まで予断を許しません。特色は6教科目というよりも、合否の結果を大きく左右する極めて重要な試験となっています。

2月16日にSTEP平均が発表されます。STEP平均の見方については、少し古いですが、こちらの記事も参考になるかと思います。

STEP平均と合格者平均の関係性2022

特色検査を終えて(受験生の声)

  • donutsがdonateかと思って「分かるぞ、勝った」と思ったら普通にドーナツだった。(横須賀)
  • 「『青果店がヤード・ポンド法表示でバナナを売ったのは罪なのか』のサブタイトルに笑った」(緑ケ丘)
  • 「信長の野望をやりこんでいるY君の顔が浮かんで和んだ」(湘南)
  • 「解く順番を間違えたかも。文系問題、解きたかった」(湘南)
  • 「難しいというかめんどくさかった」(湘南)
  • 「バケツのやつ、ネットでよく見る問題だった」(湘南)
  • 「単位ってダルかった。二次元バーコードの英語は面白かった」(鎌倉)
  • 「富嶽三十六景が出てきて、『おー!』ってなった」(鎌倉)

教室には、特色検査を終えて戻ってきた生徒たちの明るい声が響きました。2月14日学力検査の“想定外”に面食らった受験生たちでしたが、特色検査の“いつも通りの難しさ”には妙な安心感があったようです。

おわりに

2024年度受験生のみなさま、高校受験、本当にお疲れ様でした。

2月28日、結果が出ます。みんなが望む結果を手に入れる、とはいかないところが受験のつらい部分です。毎年のようにこのタイミングでお伝えしていますので、ちょっとポエムなんですが、伝えたいことを書きます。

合格発表で望まない結果になったとしても、自分を否定する必要なんてありません。

自分を管理する大変さ、身につけてきた豊富な知識量とその活用法、効果的に学ぶ方法、集中できる環境の作り方、時間の使い方、我慢強さ・粘り強さ、仲間の存在の心強さ、笑い合い悲しみを分かち合える友達の尊さ、頼れる先生との信頼関係、親のありがたみ、苦しくなってやめたくなってもくじけずに立ち向かった自分の強さ──。

数えきれない経験とスキルと強いメンタルを身につけ、そして自分を囲む人たちの温かさを知ることが出来ました。

そして、すべてをぶつけるつもりだった最後に待っていた、予想外に難しい入試。

思うようにいかなかったかもしれない。今までやってきたことはなんだったのかと自分を疑ってしまうかもしれない。
でも、結果だけ見て「意味がなかった」「やらなきゃ良かった」「どうせ」で片付けるわけにはいきません。

足りなかったこと、上手くいったこと、変われなかった自分、大きく変わった自分。
それを胸に秘めて、手に携えて歩き出せば、この受験は限りなく成功に近づきます。

最後にフランシス・ベーコンの一節を引用させていただきます。

世界には、きみ以外には誰も歩むことのできない唯一の道がある。その道はどこに行き着くのか、と問うてはならない。ひたすら進め。

その道はどこまでも、いつまでもあなただけの道です。Making the road.

君が踏み出す次の一歩が、涙にまみれた一歩であっても、笑顔に溢れた一歩であっても、どちらも等しくかけがえのない価値のあるものです。その価値を僕は信じているし、その一歩を踏み出した君の勇気に最後のエールを送ります。

高校受験、お疲れ様でした。
良い、人生を。