鎌倉の進学塾 塾長が考える、受験と国語とその先のこと- Junya Nakamoto -
2020.09.29
かまくら国語塾の取り組みの一つの“目玉”である「作品集」第一弾がついに完成いたしました!
前期のレッスンやオンラインのやり取りで各メンバーが書いた、珠玉の作品が1〜3作品ずつ収められています。見た目も中身もかまくら国語塾の歴史の幕開けにふさわしい仕上がりとなりました。
目次
簡単に言えば「文集」なのですが、コピー機でホッチキスで留めて、という形ではありきたりで盛り上がりに欠けます。
作品集の存在自体が書くことのモチベーションとなるような、後期やその後の書き手としての創作への起爆剤となるような編集を目指しました。
かまくら国語塾の「書き手の権利10カ条」の中に「共有しない権利」があります。
だから、書いた作品を必ずしも見せなくていい。これは、例えば先生である私にもそうだし、親に対してもです。
「作品集があるから書かなければいけない」ということもないように、「気が向かなければ掲載を見送ってもいい」、そんなスタンスでメンバーには作品を執筆してもらい、また掲載作品を選んでもらいました。
(とはいえ、自分の作品がないと寂しいと思うので一つくらいは、ね。という感じで話してはいました)
今回の作品集は間違いなく私にとっての宝物となります。
そして、メンバーのみんなにとってもこの一冊が宝物であって欲しい。ずっと大切に持っていて、折に触れて他の人に見せたくなるようなそんな一冊を作りたい、という思いで装丁にも紙質にも表紙や中のデザインにも凝りました。
作品には青さもありますが、それがゆえの輝きを放っていて、ページをめくるたびに心が躍る宝箱のような一冊となりました。
今回制作したものはもちろん作品集ではあるのですが、同時にかまくら国語塾の大事なコンセプトブックでもあります。子どもたちの写真やイラストもふんだんに取り入れ、見た目も楽しく仕上がっています。
掲載希望の作品も完全自己申告です。
4月〜6月はオンラインで実施していた時期も長かったので、「書く題材を選ぶ」ことが難しいかなと思い、
『Mr.コロナの旅』
『未来ドロボウ』
というテーマを設けて執筆してもらっていました。
他にもたくさん作品を書いたのに、今回の作品集にその二つを載せると言ってくれたメンバーも結構いました。理由を聞くと、
「はじめの一歩という感じがするから」
だそうです。確かにそうですね。
自分の作品の変遷を見ていく上でも、最初に書いた物語は特別なものがあると思います。
収録作品タイトルの一例はこんな感じ。
『宇宙バット』
『化物』
『新日本旅行記』
『銃撃戦〜工場編〜』
など
ワクワクするタイトルが並びます。
ちなみに「教師も書き手であれ」を実行するため、僭越ながら私の短編も二つ収めさせていただきました。
デザインにあたっては、かまくら国語塾のエディトリアルデザインを一手に引き受けてくれているJump Startの河内社長をはじめ、製本・印刷については東湘印版の石川社長にご協力いただきました。
お二人ともかまくら国語塾の理念や今回の作品集にかける想いを十分すぎるくらい理解してくださり、こちらの期待を上回る素敵すぎる仕上がりです。
また、作中のメンバーのイラストについては、小学5年生が立候補して描いてくれました。手書き作品のデジタル化にあたっては、かまくら国語塾アシスタントである山本芽衣さんにもご協力いただいています。
さらに、表紙の裏には7月にショートショート講座にお越しくださった、田丸雅智さんからのメッセージをいただきました。
たくさんの人の想いが詰まった一冊の出来上がりです。
満を持して子どもたちに開封の儀を執り行っていただきました。
「うおーすげー」
「きれいでカッコいい」
「頑張って書いて良かった」
「見た目も中身も魅力的で早く読みたい」
「やっとキタって感じで結構分厚かったから読み甲斐がありそう」
急いで手に取り、早速読み耽るメンバーたち。
保護者の方からも最速で感想LINEが。
「作品集、本当に素晴らしいですね。作品と作家さん、キラキラ輝きはじめている宝石の原石のよう。このように形にして下さり、ありがとうございます。」
「立派な作品集を作って頂きありがとうございます。出来に感動しています。本人も本格的なデザインに大満足でやる気が増した様に感じられます。」
「作品集ありがとうございました。本当にどの作品も素晴らしくて、えぇ!っと目が飛び出しそうになりました。」
いつも応援してくださりありがとうございます。保護者の方にも楽しんでいただけると嬉しいです。
かまくら国語塾では、お互いの作品の良さを見つけていくということも大事にしています。
作品集をじっくり読んで、面と向かっては言えないようなこともファンカードで伝えていくことで、お互いの刺激になり、次なる作品への意欲が高まるのではないかと考えています。
これも「書き手の権利10カ条」の中にある「他の書き手から借りてくる権利」を意識していただきたいですね。同世代の書き手はどう書いているのか、どう創っているのか、何を見ているのか、ということを知って、どんどん技を盗んでほしいです。
保護者の方にも他の書き手へのファンカードをお願いしています。大人の目にどう映っているのかを知ることもすごく刺激的ですよね。
今回制作した作品集はvol.1です。これで終わりではありません。年間二冊刊行予定ですので、小学4年生・5年生のメンバーはぜひ次年度も通って(!)この特別な作品集をどんどんコレクションしていってほしいですね。
ただ、かまくら国語塾は小学生限定ですから現6年生の数名は卒業してしまうことになります。
せっかく作家としての道を歩み始めたのに、「二冊で終わり」となってしまうのも残念です。
ですので、卒業後も新しく書いた作品があったら寄稿してもらって、作品集に掲載していく。かまくら国語塾卒業後も作品集で繋がっていられる、なんていうアイデアもあります。
また、一期生の皆さんと相談しながら今後の作品集の在り方について考えていければと思っています。
制作にあたっては結構大変なこともあったのですが、手に取る喜び、自分の作品が活字になる至上の感覚をメンバーのみんなにも味わってほしい、という思いが強くありました。
言葉にすることって、文章にすることって、こんなに「特別な価値」を自分に与えてくれるものなんだということを知ってほしい、そんな一心で制作してきました。
でも、これはあくまで“はじめの一歩”に過ぎません。
作品には半年前のものもあり、青臭さや雑な表現も見え隠れします。
でも、それでいい。それがいい。
いつだって作品は自分と共に変化し、進化して、時にはある時点での自分を思い出させてくれる道標となるはずです。
今後もかまくら国語塾では、子どもたちの「書きたい」「楽しい」と向き合いながら、数々の唯一無二の作品を生み出していきます。小さな作家たちが踏み出す一歩一歩を応援していただけると嬉しいです。
最後に、問い合わせが多いので次年度募集についてもご案内差し上げます。
2021年度、二期生の募集については、12月1日より説明会の申込受付を開始します。
説明会と同時開催の体験ワークショップにご参加いただくことが入塾にあたっての条件となります。
詳細については、追ってweb/facebook/twitterでご案内いたします。
一期生の継続通塾人数によって募集定員が変わってきますが、卒業していく6年生も数名いるので募集が0ということはありません。
いずれにしてもかまくら国語塾はかなり特異な塾です。コンセプトを保護者の方と、何よりご本人にご理解いただくことが重要ですので、ブログやホームページなどをよくご覧になって雰囲気を知った上で、ご検討いただければと思います。