鎌倉の進学塾 塾長が考える、受験と国語とその先のこと- Junya Nakamoto -
2019.02.15
2019年2月14日、神奈川県公立高校入試共通選抜が行われました。受験生のみなさん、お疲れ様でした。各問題の難易度も含めて、幾つかの観点から今年も問題分析をしていきます。(ブログの性質上、国語だけの分析となります。悪しからずご了承ください)
目次
随分と難易度は上がりましたが、5教科の中で最も得点の取りやすい科目となっています。
過去4年の合格者の平均点は
2018年度は最も低かった社会と比べて23.8点差がついています。そろそろ難易度をさらに上げてきても良い頃です。
2018年度までの問題は下記の通り。
難易度、問題のバリエーションともに論理的思考と言語知識をバランスよく問う問題が出来上がっています。癖が少なく、他県でも入試前の練習台としてよく使用されるようです。ただ、文章の長さや「手数の多さ」が特徴で慣れていないと結構面食らうのが神奈川県の国語です。
所感は、昨年よりに引き続きマイナーチェンジが行われ、全体として平均点はさらに下がる傾向にあるでしょう。小説文の問題が読み取りにくくなり、配点の高い資料読取記述の難化が影響を及ぼしそうです。
受験生の声をお伝えしておきます。
昨年度は、「苦衷」の読みで一番点数を落としました。助動詞の識別問題は68.7%の正答率、69%の正解率の短歌の問題となっておりました。今年はどうだったのでしょうか。
昨年度の正答率は(ア)63.3%、(イ)57.2%、(ウ)63.8%、(エ)45.3%となっており、内容一致の問題の正答率が特に低く、全体としても取りにくかった問題でした。今年はどうだったのでしょうか。
昨年度は、心情を問うもの、人物像を問うもの、センスを感じさせる朗読の仕方(この部分を朗読する時どのように読むかという変わった問題)、文章の特徴について答えるものに加えて正答率55.9%だった情景描写の効果についての問題があるなど、多少の傾向変化が見られました。
2019年度は原田マハ「たゆたえども沈まず」の出題。王道。これは珍しい。今年度も傾向は大きくは変わりません。
昨年度は、言い換えの問題、説明記述などこちらもベーシックなもの。書き抜き問題の難易度が高く正答率は19.1%。ただ総じてそこまで高い難しさではありませんでした。昨年度難しかった論説文の難易度は引き継いでいますが、極端に難化したことはありません。
資料と会話文から適切な情報を読み取って、題意に沿って記述する問題。昨年度は(イ)の問題で傾向変化が見られました。正答率はもっとも低い12.3%。まとめにくさを感じる問題でした。追検査では見たことのない形式の出題がなされていて、難化が予想されました。
実際、2019年度も最も差がつく問題になりそうだというのが率直な感想です。
伸学工房さんが毎年出している追跡調査に基づく、今年の目標点数(合格者平均点)を算出してみたいと思います。昨年度と今年度の難易度の比較と倍率などから想定した数値です。あくまで推定値なので鵜呑みにしないでいただきたいですが。全体的にはさらにやや難化。マイナス5点〜10点程度と読んでます。
小説文で昨年よりも難しい問題が数問出題されたこと、漢字の難易度の高さ、問5の解きにくさから全体的に取りにくい問題になりました。問5の(イ)で不正解になる人が多いことを予想し、得点は全体的に下がると見てますが、ここの採点が甘ければ全体的に3〜5点は切り上がります。
国語得意な人でもこれまでよりも苦戦する問題でした。ついに難易度が上がった神奈川県公立国語。苦手意識がある人にとっては苦しい結果となりました。語彙力が足りないと厳しい問題になりましたね。
まだ、終わっていません。
この記事を読んでいる時点で、過去にとらわれてしまっているのかもしれません。まだ、やれることが残っています。15日、18日(19日)と続く特色検査、面接試験はサッカーでいうところのアディッショナルタイムです。劇的なラストを演出するこの検査。
五科目のテストで思うようにいかなかった人にも、最後の逆転のチャンスは十分に残されています。逆転は毎年少なからず起きています。逆に、五教科のテストがうまくいった人は守り切らなくてはいけません。敵はなりふり構わず死に物狂いで攻めてくる。
受験生のみなさんが、面接を終える最後の1秒までやり切れることを願っています。あとちょっとです。ここまでの努力を考えればあと1日や2日は頑張れる。やってやろう。
このブログのタイトルは「受験を超えて」です。「合格のために」ではありません。みなさんが取り組んできたことはとても素敵な取り組みです。目標を定めてそれに向けてどう距離を縮めていき、最終的に乗り越えていくかを考えてきた経験、これはかけがえのないものです。
でも、同時にこれから先は「何をやればいいか」の問いを自分で探していかなくてはいけません。受験勉強で得た力を今度は自分がやりたいこと、やってみたいことを実現するために使ってみてください。
受験は合格するためにするものではありません。その先の未来を自分で掴みにいくためのものです。今回の受験が、皆さんにとって次なる羽ばたきにつながるものであることを願ってやみません。
高校受験、お疲れ様でした。(特色検査、面接が終わったら)ゆっくり休んでください。そして、高校入試に際してこのブログを読んでくださりありがとうございました。