鎌倉の進学塾 塾長が考える、受験と国語とその先のこと- Junya Nakamoto -
2022.02.04
空前の志願変更数となった2021年。2022年度も似たような出願傾向となっており、大きな動きが予想されます。2021年を踏まえながら、仮説と共に「今年の神奈川の受験生はどう動くのか」を検証して参ります。
目次
「志願変更をしても変更後の倍率が急激に上がったらどうしよう」
「今は倍率高いけど志願変更でどうせ減るでしょ」
と思うかもしれません。何年も倍率や志願変更を注視してきたデータから導き出される結論は、『ほとんど動かない』です。
例年、一部の学校を除けば、ほとんどの場合変動は0.1未満です。
動いたとしても0.2~0.3程度が関の山。
「変動が大きくてもその程度」ということです。過度な期待や恐れは禁物、とされていました。
ただし、それは2020年までの話。
コロナは受験生の動向まで大きく変えています。新型コロナウイルスの影響を受けた2021年度は今までにない志願変更者数となりました。志願者の傾向が似ているので、おそらく2022年度も同等かそれ以上の志願変更が予想されます。
志願変更によって、高倍率の学校の倍率がさらに上がることはほぼありません。今年は湘南を除けば、1.5倍以上の学校は軒並み倍率が下がるはずです。湘南に限っては、翠嵐からの移動も含めて上がる可能性もありますので、湘南志願者は覚悟が必要ですね。
人が動くには理由が必要です。
志願変更で動く学校の条件は
です。基本的にはそうでなければ動きません。
例えば、
最初の出願時点で1.11倍と明らかに狙い目に見えた2020年度希望ケ丘は、志願変更後も1.2倍とさほど変わらず。
最初の出願時点で1.81倍と明らかに高倍率だった2020年度大和は、減少したものの志願変更後も1.6倍と高倍率を維持。
最初の出願時点で1.58倍と高倍率だった2021年度七里ガ浜は、志願変更後も1.52とほぼ変わらず。
2021年は大きく変動した学校が目立ちましたが、全体で見ると2/1時点での数値と傾向が大きく変わらなかった学校も数多くあります。2022年も昨年と同様の傾向が見られます。同じような動きをする可能性も十分にあるため、昨年の出願時倍率と最終倍率の動きをチェックしておくと判断の助けになるかと思います。
また、進学重点18校の中でも特に厚木、川和、大和、多摩、横須賀、小田原、希望ケ丘などの学校は例年変動が少ない学校です。2/1の数値を見た時点である程度、覚悟を決めることが肝要です。
ただ、今年は進学重点エントリー校で例年よりも多めの出願者数となっていて、鎌倉、茅ケ崎北陵、横浜平沼はかなり人を集めています。1.5倍超とかなり厳しい受験となりますので、志願変更する受験生もいつもより多いのではないでしょうか。
特色検査実施校を志望する場合、特色検査の対策も(費用をかけて)しっかり積んできています。頑張ってきた成果を発揮するため、志願変更も特色検査実施校の間で動く可能性が高そうです。横浜国際を筆頭には人が流れるでしょうか。特色検査実施校→5教科共通選抜のみの高校への移動は限定的かと思います。
今年の志願変更を考えていく上で、昨年の数値は参考になります。具体的に見ていきましょう。気になる学校について以下にまとめます(参照:神奈川県教育委員会 入学者選抜一般募集共通選抜等の志願者数(志願変更締切時))。
また、志願変更後も当日欠席者+受験後辞退という形で最終倍率はまだ下がるという点は留意しておく必要があります。
翠嵐はいつも通りの大幅減少。湘南も予想以上に動きました。98名減で倍率もかなりダウン。蓋を開けたら2020年並となり、過度な難易度の上昇はなかったと思われます。変更先は……柏陽・平塚江南・茅ケ崎北陵あたりでしょうか。
緑ケ丘から歴史的大移動が起きました。人数にして145人。倍率にして0.5ポイントも変動しています。湘南・翠嵐を除いてここまで移動したケースは過去に類をみません。結果的に緑ケ丘の入試合格ラインはかなり下がったと言えます。
鎌倉高校も動きました。63名減で鎌高史上最多の志願変更でした。結果、加熱気味だった鎌倉高校の倍率は少し落ち着くことになり、難易度上昇は限定的でした。とはいえ、高難易度には変わりはありません。
藤沢西はやや動いた印象はあるものの、そこまで大きな変動はありませんでした。七里ガ浜→大船、藤沢西→鶴嶺のようなSOFTS内での移動もあったかと思われます。
市立戸塚、市立金沢も動きました。金沢から特色検査校への流入は考えにくいため、桜丘に変更した受験生が多かったでしょうか。
「動いた」という印象が強い2021年の志願変更。背景には何があったのでしょうか。
まず第一に、“熱望”度合いが高くなかったということが挙げられます。コロナ禍で学校見学や行事体験も限定的で情報不足。志望校選びがどうしても表面的になりがちです。
そのため、出願時の学校への“なんとしても感”が高まり切らず、より高い確率で合格するための志願変更が増えたことが考えられます。
もちろん、社会を覆う先行き不安感からチャレンジよりも公立に合格することを優先させたいという風潮もあるでしょう。
2021年の志願変更は4日・5日・8日というスケジュールが予告されていて、最後に土日で考える時間を設けられていたのも、志願変更への精神的な障壁を下げています。2022年は4日・7日・8日というスケジュールとなっており、じっくり考えて二日目の志願変更者数が増えそうです。
いずれにしても一つの要因ではここまで動きません。複数の要因が絡み合っての空前の志願変更数となったと考えられます。
ご自身の未来と、これまでの頑張りと、志望校への想いを胸に、考えて考え抜いて志願変更という選択にたどり着きます。そこまで悩んで変更することを選ぶ志願変更は、すべてが英断です。
昨年は未曾有の志願変更数となりましたが、それでも一部の学校に偏っています。
2022年も全体的な傾向としてはかなり多い志願変更が行われるはずですが、今年も“動く学校”は、間違いなく偏ります。
お伝えしておきたいのは、志願変更するにしても、しないにしても、倍率の発表で過度に動揺する必要はないということです。
倍率変動が及ぼす合否の影響について正しく知っておけば、落ち着くかもしれませんので、高倍率となったときにボーダー付近で何が起きるかについて以下に説明します。
*例年学力検査の数日後にSTEPが塾内平均点を発表します。多くの学校ではこの点数を上回っていれば合格となりますが、トップ校ではそうもいきません。
今から出来ることは1点でも多くの得点を積み上げるための努力をすること、面接・特色検査への意識の割合を若干変えることでしょうか。
志願変更は受験生の皆さんが持っている権利です。変えようかな、と思ったとしたらその理由とよく向き合ってください。きっと自分の中に答えがあるはずです。それは、絶対受かりたいという気持ちかもしれませんし、最終盤の勉強に対する不安かもしれませんし、親はどう思ってるかなと応援してくれている家族のことを案じる優しさかもしれません。
だから、「面倒」「時間がかかる」「学校の先生からやめたほうがいいと言われた」という理由で“変えない選択”をするのは得策ではありません。まずは話せる人に話を聞いてもらいましょう。塾の先生や進路指導に詳しい学校の先生、そして最高の味方である保護者の方に。
自分の想いを言葉にすることで見えてくるものがあるはずです。
そして、最後、決めるのは受験生のあなたです。
そこまで悩んで選んだ学校は、必ずや最善の選択となっています。
あとは、絶対に合格を取るための追い込みに意識を集中させてくださいね。
応援しています。