受験を超えて

鎌倉の進学塾 塾長が考える、受験と国語とその先のこと- Junya Nakamoto -


速報と分析 2019神奈川県公立高校入試倍率(1月30日時点)

2019.01.30


1月30日、三日間の出願期間を経て2019年神奈川県公立高校入試の暫定倍率が発表されました。各校の倍率について速報と簡単な分析、志願変更についての考え方を書いていきます。また、以前の倍率予想の記事の答え合わせもしていきたいと思います。

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速報と分析 2020神奈川県公立高校入試倍率

はじめに

神奈川県公立高校入試の倍率の見方

倍率の見方や倍率の意味、定員割れの時の考え方などについては昨年の記事(速報と分析 2018神奈川県公立高校入試倍率)をご覧いただければと思いますが、簡単に引用しておくと下記の通り。

  • 1.1倍程度:低い。例年よりも少し入りやすい
  • 1.2倍〜1.3倍程度:例年通り。内申平均も合格者平均偏差値もあまり変動はない。模試の判定が50%未満なら志願変更も視野に
  • 1.3倍〜1.5倍程度:やや高い。例年よりも少し入りにくい。模試の判定が60%未満なら志願変更もあり
  • 1.5倍以上:高い。例年よりも入りにくい。模試の判定が70%未満なら志願変更を勧める

1.1倍の学校と1.5倍の学校での差は定員318名の学校で考えてみると、1.1倍時の受験者数はおよそ350名。1.5倍時の受験者数は480名程。不合格者数は「32名」と「162名」と130名差が出ます。

1.5倍超の学校に対して模試で50%以下の合格判定の人が突撃していくのは、ギャンブル要素が相当高くなりますね。志願変更の検討をお勧めします。

受験生のみなさんへ

少し厳しいことを言えば、倍率を気にしているということは、「他力本願」「あわよくば」での合格を狙っていると言い換えることもできます。倍率を気にしている受験生は概して追い込みで力が伸びない、というのは定説だという話は以前も書きました。

でも、ギリギリの勝負をしようと思っている人、志願変更を迷っている人にとっては、一つの有効な指標であることも事実です。今日まで志望校への熱い想いを持って勉強に取り組んできたはずですが、倍率を見て自信が揺らいでしまったとしても、このタイミングで志望校を変えるのには抵抗がありますよね。

でも、志願変更をすることは「負け」でしょうか。「逃げ」でしょうか。

そんなことはありません。志願変更という制度は、神奈川県が受験生の皆さんに与えてくれた選択の権利です。何を優先するかを考えた時に「第一志望をひたすら目指すロマン」なのか「絶対に公立高校に合格すること」なのかよく考えて、家庭の方針も含めてその権利を履行するかどうかを考えましょう。志願変更は逃げでも負けでもありません。冷静かつ有効な「判断」です。(唯一大変なのが、面接で語る志望動機を変更しなければいけないことです)

まだ最終出願(2月4日〜)まで数日あります。第一志望の合格率とともに、もし駄目だった時の併願校に進んだ自分の姿、そして志願変更した学校での自分の姿や高校生活を思い描き、可能性をよく見極めて選びましょう。

「もういいよ、落ちても。ここまでやってきたんだし」と自棄になって志望校を変えない受験生、よくいます。ダメです。それは許されません。ここまで応援してくれた人のため、自分のこれから先の三年間の価値を考えた時、ヤケになってはいけません。ここまで努力してきたこと、目指してきた自分の姿、想い、全て尊いものです。どこの学校に進んでもそのことの価値は変わりません。ここでヤケになってしまうことはそれらを全て捨ててしまうことと同義です。だから、どうかよく考えてください。

周りに相談することも大切です。塾の先生、学校の先生、そして誰よりもあなたの合格を一番に願っている保護者の方にも話して見ましょう。そして、可能であるならなるべく厳しいことを言ってくれそうな人に相談したいものです。複数の人の意見を聞いて参考にしてください。でも、最後に決めるのは「あなた」です。「そのまま」「変更する」どちらであっても、考え抜いたあなたの選択は尊く素晴らしいものです。周りがその選択をどう評価しようと関係ありませんよ。自分で決めたことの責任を自分で取りにいきましょう。周囲に志望校を決めてもらった(決められた)高校受験なんて、むざむざ成長の機会を捨てにいっているようなものです。

そして、大切なことは一度決めたらウジウジしないこと。決めることは捨てることです。決断した後は、未練を断ち切り、受ける学校に全力集中していきましょう。もう倍率は関係ありません。一点でも多く取るためのあなたの追い込みだけが、合格の可能性を高めます。

2019倍率の大まかな傾向

前置きが長くなりました。それでは、倍率速報と分析です。

攻める受験生とSSAH人気 ”新”特色検査の波紋

一言でまとめると「攻める2019受験生」とでも言えるでしょうか。傾向としては、翠嵐・湘南・横浜緑ヶ丘・多摩・神奈川総合は2倍前後の非常に厳しい受験となる様相。その他にも進学重点校に指定された柏陽・厚木高校の人気がやや上昇。「SSKH」改め”新”学力向上進学重点校として「SSAH」として四校が人を集めています。

“新”特色検査も波紋を呼んでいます。後発で実施が発表された3校のうち、横須賀・平塚江南では教科横断的・総合的な得点力への不安と初年度様子見が重なり敬遠が起きています。近隣の市立金沢・茅ヶ崎北陵の倍率が急増しているのは、この影響もあるでしょう。

高倍率&低倍率明暗くっきり 二番手校不人気法則は解消

予想記事通り昨年度見られた二番手校不人気の法則は解消。市立金沢・市立桜丘・鎌倉・横浜平沼・松陽・市ケ尾・新城などの倍率は1.3倍超となっています。かといってトップ校の倍率が下がっていることもなく、「突き上げ」が起きていると考えられます。地域三番手校の倍率が下がっていることが多いように見受けられますが、市立東・藤沢西・横須賀総合・元石川や座間なども高倍率。一方で追浜・秦野・湘南台・大磯などは定員割れの影が散らつく倍率となり、三番手以降の学校は明暗が分かれた形となっています。

国際系は引き続き人気。横浜国際・神奈川総合・横浜商業(国際)の倍率が非常に高くなっています。留学生の受け入れや短期留学のメニュー、英語での授業、校内に当たり前にあるグローバルな環境は他の公立とは比べ物になりません。国際人気はここ数年ずっと続くトレンドです。新たに国際高校を増やした方がいいくらいですね。(地域バランス的にも鶴嶺”国際”の爆誕に期待)

定員割れの学校も目立ちます。放っておいても魅力が拡散していく学校はさておき、他の県立高校も特色を出して、発信力を強めていかないと今後も定員割れは続きます。これまでのような内向きの姿勢では腰砕けもいいところ。魅力ある公立高校づくりの改革が聞いて呆れますね。

私立の復権?

巨視的に見ると「攻めの姿勢」が目立つわけですが、私立高校の再評価が公立チャレンジ志向を促しているという見方もできます。就学支援金制度が充実した点、グローバルやキャリア教育を中心とした取り組みや手厚い学習指導への認識が高まった点が、「公立だけが高校じゃない」という当たり前の意識を広めているのかもしれません。

納得いく公立を受験しよう、憧れの学校を受験したい、もしそれで合格が取れなければ私立に通うことも、やぶさかでないという受験生が今年は増えているのではないでしょうか。そもそも広報や学校の魅力の伝え方は私立の方が努力をしていますし(お金の掛け方も違いますし)、圧倒的に上手です。定員割れの学校が激増している要因も「私立という選択」が一因でしょう。

それでは速報と倍率分析と参ります。合わせて倍率予想の答え合わせもしていきます。学校情報について無責任なことが書けないため、取り上げる学校に偏りがあるのはご容赦ください。

学力向上進学重点校

翠嵐・湘南が接近 柏陽・厚木は受験者増

まずは、学力向上進学重点校からです。

翠嵐の2倍超は例年通り。湘南も今年は2倍に乗せてくるかと思われましたが、1.82倍に留まりました。昨年2018年度の最初の出願時点での湘南+翠嵐の人数は湘南597名+翠嵐840名で1437名です。今年は湘南650名+翠嵐795名で1445名となっており、そっくり翠嵐の50名が湘南に移った形ですが、大手塾内部の動向は随分と違うようです。県内最大手からは翠嵐の受験者が例年より倍増しているという噂もあり、全塾中No.1を取りに行くために塾内トップ層の受験先が少し例年とは異なるようです。大手塾間での翠嵐←→湘南の受験者の戦略的な移動があるのでしょうか。

湘南・翠嵐に関しては例年ここから人数が大きく変動します。2018年度最終倍率は湘南1.67→1.37(104名減)、翠嵐2.35→1.83(183名減)でした。志願変更に加え、慶應・学芸大の合格で入試後も人数は減っていきます。ただ、以前の記事でも書いたように今年は「学芸大の踏み絵」があります。学芸大の手続き締め切りが早まるというものですが、それによって学芸大附属合格者が「公立辞退」をする可能性が例年より高まるはずですので、最終倍率はいつもよりは減らないかもしれません。

続いて倍率微増の厚木。模試の志願者偏差値を追っていくと厚木は受験生のレベルも上がっていることも分かりますので、今年は厳しい争いになりそうです。授業力の高さ、かつてSSHだったことから来る理数教育の充実、文化祭の盛り上がり、いずれをとっても非常に充実感があります。現役国公立の進学率も高く、進学実績の面でも申し分ありません。”新”学力向上進学重点校である湘南・翠嵐・厚木・柏陽(SSAH)は確かに各校の特色が出ていて、地域によって興味によって選び分けられる学校群になりました。

昨年度は最終倍率1.27と人気低調だった柏陽ですが、今年は名門復活。予想よりもだいぶ上で着地しそうです。理数系に色を持ちつつ、県立高校が目指していく探究学習の方向性においては一日の長があり、充実した学びが期待できます。どうしても湘南・翠嵐に目が行ってしまうため、その影に隠れるようですが、安定した校風と授業力の高さは再評価されて然りです。何よりも柏陽最大の弱点と言われていた「あのトイレ」が綺麗になりました。湘南・翠嵐一直線で考えていた受験生、塾から「多少厳しくても受けることに価値がある」とかよく分からないことを言われている受験生、一度考え直してみてはいかがでしょうか。校長先生のバイタリティも素晴らしく、柏陽も相当良い学校ですよ。

(柏陽・厚木の先生方へ。このタイミングで見学会とかやると人がすごく集まりそうですよ)

SSAHの志願者数の合計人数は昨年比6%増。神奈川県全体の受験生の人口動態は昨年と比べて1%減ですから、進学重点校の人気加熱が目立ちます。柏陽・厚木で130人増はかなりのインパクトです。「SSAHここにあり」を印象付ける結果となりました。

学力向上進学重点エントリー校

続いては学力向上進学重点エントリー校です。軒並み高倍率をつけていますが、平塚江南の低倍率が目立ちます。

川和は減 緑ヶ丘・多摩は高倍率維持

前述のようにSSAHに上位層が集中。そのため、川和・多摩・光陵の倍率が下がっています。また模擬試験の結果からは希望ヶ丘や川和などの平均偏差値はやや下がり目の印象です。現時点では例年よりも少し入りやすくなる可能性があります。

緑ヶ丘は模試の平均偏差値・平均内申点ともに高いレベルを維持。さらに高倍率も維持されているので、引き続き厳しい争いが予想されます。理数教育推進校指定による敬遠は感じられませんが、昨年の問題を見る限り特色検査問題の理数要素への警戒感は持っておいたほうが良いと思います。

川和は進学重点校の本指定漏れが影響しての低倍率予想でしたが、昨年同等をキープ。エントリー校の中でも最も本指定に近い場所にいるのは間違いありません。今春の大学進学実績で結果を出せればいち早く指定となることでしょう。

落ち着きがありながらも楽しめる校風で設備も充実していることから人気が続く多摩高校は、高難易度の受験が続きそうです。今年もやや下がるものの1.8倍の高倍率です。

希望ヶ丘も自由な校風と進学実績の改善が効いて人数を集めています。広大な敷地(神奈川県公立No.1)で過ごす三年間は確かに価値あるものです。これまでのパズル型や思考系が多かった特色検査の特徴からして新特色検査への抵抗感もあまりない様子です。

例年、志願変更で人数が大きく動くのはおよそここまで挙げた学校です。他校は高倍率校を除けば多くても0.1ポイントほどの動きに止まります。あまり大きな期待をするのは禁物です。

“エントリー校効果” 鎌倉・横浜平沼・茅ヶ崎北陵が高倍率

学力向上進学重点エントリー校となった中で、失礼ながら「意外」な要素が強かった三校、鎌倉・横浜平沼・茅ヶ崎北陵の三校の人気が目立ちます。学習面でのしっかりとした指導を期待する層を集めたという見方もできますし、何よりこの三校は今年度特色検査も実施しない「お買い得感」のある学校でした。必然的な要素も確かにありますね。

昨年度学級増により久々に低倍率となった横須賀と鎌倉はやや明暗が分かれた形になりました。横須賀のSSH(スーパーサイエンスハイスクール)の取り組みは非常によく練られていて、グローバルの要素も取り入れつつ発信力・探究力も鍛えるものになっています。横須賀ならではの「真面目な雰囲気」もきちんと保たれつつ、部活にも行事にも力を入れているので、もう少し人気が出ても良いのかなと思っています。イメージや地理的な問題が大きいのでしょうか。

一方、鎌倉高校は単にクラス減の影響ではなく、昨年以上の人数を集めて(昨年411名→今年467名)高倍率となりました。元より人気校である上に、平塚江南・横須賀が新特色検査を実施するためそれを避けた層、昨年の低倍率により「入りやすい」印象がついてしまった点が要因と考えられます。しかしながら、ここまで高倍率になるとボーダーラインが切り上がることは間違いなく、昨年同様の点数での合格は厳しいものになりそうです。近隣の同レベル校である市立金沢も高倍率であるため、横浜平沼や市立桜丘など、安全圏を狙って大船への志願変更も視野に入れたいところですね。鎌倉高校については先日訪問した際の記事もご覧ください。

鎌倉高校の”真価”青春の遺伝子はいかに作られたか

一方で、特色検査の実施を決めた平塚江南はまさかの定員割れスレスレです。特色検査実施宣言の影響は大きかったようです。新特色に対する警戒感は平塚江南受験層からは強いでしょう。実施宣言は一年早かったかもしれませんね。特色検査を実施しない学校から志願変更で流れてくる可能性も低く、湘南からの流入も限られています。厳しい受験となりそうです。

茅ヶ崎北陵の大幅増は予想できませんでした。鎌倉も人気が高いため、より確実な合格を狙いたい受験生は鶴嶺に流れそうです。また、来年度から特色検査を実施することになる横浜平沼は学校として一つ階段を上った印象で人気をキープ。学習指導の強化と落ち着いた高校生活が期待できる学校として、これからさらに人気が上がっていくかもしれません。

横浜市立人気校

市立金沢大爆発 桜丘も人気 戸塚はやや低倍率

続いて横浜市進学重点校4校です。昨年は高倍率一服といった感じでしたが今年は再び人気沸騰です。

各校の魅力については、こちらの記事もご参照ください。
(空前の高倍率! 横浜市立高校 人気の秘密)

サイエンスフロンティア(YSFH)は今年は倍率一服。施設や設備としては他の追随を許さないものの希望ヶ丘、横須賀とSSHの学校があり、多摩に加えて緑ヶ丘・鎌倉も理数教育推進校となりましたので、理数系の学習に興味がある層が分散されたという考え方も出来そうです。

今年注目は市立金沢でしょう。予想を大きく上回る1.69倍となりました。”新”特色実施の横須賀高校敬遠の受け皿になった形でしょうか。校風・学習指導の丁寧さ・行事の盛り上がり・部活動「全部やる」魅力と学校説明会の評判がすこぶる良いのが市立金沢。説明会に行き、校内を回って「ここだ!」と選ぶ受験生が多いのが特徴です。数少ない広報力のある公立高校ですね。人気も納得です。そして、大きなトピックが「横浜市外枠」が埋まったことです。これまで数年間振り返っても埋まることのなかった30%の市外枠定員を今年はオーバーしました(96名定員のところ114名)。横須賀からの流入を裏付ける結果です。

市立桜丘の人気も高いですね。文武両道の中でも部活動への力の入れ具合が強く、部活を中心に起きつつ勉強もしたいという層には圧倒的な支持を誇ります。

青春要素が非常に多く充実した高校生活が魅力の市立戸塚が今年はやや倍率抑えめとなっています。市立金沢からの志願変更が多くなりそうですね。施設・設備も県内最高レベルですので、意外な結果です。青春+施設・設備でコンテンツとしては最強ですが…。

市立東も1.53倍と高倍率をつけ、横浜市立高校の強さが目立ちます。毎年予想しづらいのが横浜市立高校ですが、今年は予想外が多く忸怩たる思いです。横浜市立は隔年現象が見られたというのも特徴です。

旧指定進学重点校

横浜国際(本体)は倍率減 追浜・秦野は低倍率

続いて”旧指定”進学重点の三校です。

国際バカロレアコース(IB)設置の横浜国際(本体)も高倍率。IBコースも様子見ながら20人定員のところ24人が出願。定数の確保はできそうです。IBコースには県としてもかなり力を入れているようで、初年度で不安はありますが期待もできます。横浜国際は在校生の満足度が非常に高く、やはり国際系のパイオニアとして安定したカリキュラムと方針を貫いている強みがありそうです。神奈川総合や横浜商業(国際)も高倍率なので、学力に少し不安があってなお国際系を望む受験生に今年は逃げ道がなく、選択に悩みそうです。横浜国際高校についてはこちらの記事もご覧ください。IBコースについても詳しく解説しています。

国際バカロレア(IB)始動! 横浜国際高校の改革と挑戦

秦野・追浜のアットホーム二校は、予想記事で書いたメッセージも影響なく、低倍率になりました。近隣の学校で高倍率の学校があるので、志願変更での受験者増は見込めますが、それにしても昨年に続いての低倍率傾向。学校としての特色や中身の充実感は一定の評価を得ていますので、学校として何か手を打ちたいところです。

湘南地域上位校(SOFTS)

藤沢西の人気続く 七里ガ浜大船は堅調 湘南台鶴嶺は定員割れ

最後は、地域の人気校です。湘南地域の上位人気校SOFTS(七里ガ浜・大船・藤沢西・鶴嶺・湘南台)です。藤沢西の一人勝ちの様相です。

大船は事前の予想通り低倍率でした。定員数が多く人数の確保が大変なことに加え、上位層が市立金沢と鎌倉を選んでいる可能性があります。大船は少し易しくなり、七里ガ浜は例年通りの難易度となりそうです。今年、両校の再逆転はあるのでしょうか。大船・七里の比較はこちらの記事もご覧ください。

大船高校か、七里ガ浜高校か

藤沢西は前年の倍率から上昇し一昨年並み。引き続き人気を集めています。新校舎効果と自分がやりたいことをやれる校風が人気の理由でしょうか。ここまでの倍率があると難易度は大船・七里ガ浜に肉薄してくるかもしれません。藤沢西から大船に志願変更するという流れもあり得ますね。模擬試験の志願者内申平均・偏差値平均共に上昇傾向ですので、昨年度同様の難易度と考えていると足元を掬われることになりかねません。

そして湘南台は今年も低い倍率となりました。毎年、定員確保で話題となっているようではつらいところ。厳しめの校則が今の中学生に敬遠されているのでしょうか。学校側も何かアクションを起こして欲しいところです。強豪の吹奏楽部をはじめ、部活動では目を見張る特徴があります。良さを見つけて希望と合致すれば、狙い目の学校となりそうです。

一方自由な校風かつ隠れ国際系の鶴嶺は定員割れです。志願変更で茅ヶ崎北陵から間違いなく流入があるはずですので、試験当日に定員割れとなることはなさそうですが、予断を許しません。湘南台とは正反対とも言える校風ですが、逆に自由すぎるのでしょうか。学校がうまくプロモーションが打てれば一気に人気が出るポテンシャルを秘めている学校です。ぜひ志願変更の選択肢に入れてみましょう。

おわりに

最後までお読みいただきありがとうございます。
倍率予想の結果は、☆◎→勝ち △×→負け −→引き分けとすると、
16勝11敗2分けとなりました。(勝率59%)※昨年は45%でした。
昨年よりも予想の精度は高まったと思います。少しでもお役に立てたのなら嬉しいですが、横浜市立高校ですべて予想外の結果になったのは残念です。ただ、鎌倉の塾として鎌倉高校でジャスト予想できたのは責任を果たした感があります。

各校の倍率に差があるので、今年も2月4日からの志願変更で大きめの変動が起きる可能性があります。1月30日の暫定倍率を見てほっと胸をなでおろした人も決して油断はできません。

翠嵐、湘南ツートップの倍率が高くなっていて両校を志願する受験生は大変です。模試で結果が出ている人も油断禁物。模試の結果は1月上旬のもの。実際の入試までの一ヶ月で学力は指数関数的に伸びています。もう抜かれているかもしれませんよ?

偏差値上位校への志願者の偏りはさらに強まっています。上位校であればあるほど、難易度の高い問題で差がつくようになってきます。理科・社会は昨年までの様子から警戒して、各受験生ともかなり仕上げてきているはずなので逆に差がつかないかもしれません。英語・数学・国語の難易度上昇にも対応できるように、本質的な理解と高難易度の問題演習を欠かさずにしていきましょう。新特色検査については、これまでの神奈川県の傾向からいくと「初年度様子見」がありそうなので、あまり差がつかないものを持ってくる可能性が高いと読んでいます。「特色で逆転!」は効かないかもしれません。

また、偏差値60未満の学校ではミスの数が勝負を決めます。いかに出来る問題を落とさないか、確実に得点を重ねられるかが重要です。ミスが出やすい箇所を分析し、一つ一つ潰していきましょう。その際、必要以上に難しい問題に手を出す必要はありません。「県トレ」や「極める神奈川」などを使用して、繰り返し「怪しい部分」に取り組んでいきましょう。

さぁこれで「倍率」はほぼ決まり。腹を括りましょう。

倍率が高くても低くても、自分の力が届いていても足りなくても、志願変更してもしなくても、きっと不安からは逃げられないと思います。不安で不安で仕方ない人、それが正常です。きっとよく頑張ってきたんですね。自分の弱さが目に付くほど冷静で、周りの強さと自分を比較できるほど客観視ができているから不安になるのです。でも、その不安が君をもっと強くする。だから、負けないでください。

いつも応援してくれている人が周りにはいるはずです。友達、家族、先生──君の背中を押してくれる人はたくさんいます。でも、最後の一歩を踏み出すのは自分自身。だから、前に進もう。想いは力です。

直接関わることはできませんが、このブログを読んでくれた君にささやかながらエールを送ります。応援してもらった人の数だけ人は強くなれる。私はそう信じているので、このエールも本当にわずかかもしれませんが力になるはずです。

がんばれ、受験生。